七色のポエジー(書きとめておきたい古今東西の詩句)
第406回 暮に河堤のほとりを行く(韓愈)
暮行河堤上 四顧不見人 衰草際黄雲 感歎愁我神
(暮に河堤のほとりを行き 四顧するも人を見ず
衰草は黄雲に際(まじ)わり 感歎して我が神を愁えしむ)
中唐の詩人、韓愈(かんゆ、768~824)が若いとき作った「暮に河堤の上(ほとり)を行く」の前半部分。人気のない河畔で見るしなびた草や黄ばんだ雲が神経をキリキリさせる。この詩の後半では、ねぐらに戻り、行く末を案じて眠れぬ夜を過ごす。
韓愈は25歳で進士に及第し、官職に就くが、何度も左遷された。一貫して儒教を尊び、道教や仏教を排撃した。儒教精神を正確に表現するために、柳宗元とともに古文復興運動に努めた。
詩風は尊敬する李白や杜甫流れを汲み、豪放磊落である。同時代人の白楽天とともに〝韓白〟と称される。