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七色のポエジー(書きとめておきたい古今東西の詩句

第434回 曠野(こうや)の歌(伊東静雄)

わが死せむ美しき日のために
連嶺の夢想よ! 汝(な)が白雪を
消さずあれ
 
 昭和前期の詩人、伊東静雄(1906~1953)の「曠野(こうや)の歌」の出だし。自らの永久の帰郷を、連嶺が反射する高貴な白い光が見守ってくれることを願う。
 長崎県諫早市出身の伊東は、京都帝国大学国文科を卒業し、大阪府立中学の教員となった。詩人として名を上げた後も教壇から離れなかった。
 大学生のころ詩作を始め、同人誌を創刊した。1935年、「曠野の歌」を含む処女詩集『わがひとに与ふる哀歌』を出版。萩原朔太郎に<日本にまだ一人、詩人が残っていた>と絶賛され、一気に日本浪漫派の代表的詩人となった。
 伊東はあるとき仲間の詩人に自分の詩作の仕方を説明して、<何かに感動して美しいと思ったとき、これはどうして美しいのか、またはどうして美しいと感動するのかと自分を探る、するときっとそれが分かる。それを書くんです>と語ったという。


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