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パイピングテープ

知らないふりをやめて
またひとつずつ探そう
まばたきするたび
世界が変わるなら
僕らあくびをする暇だってない

諍いが起きない答えで
問いに応じるつもり
むずかしくない
きっとやさしい
あかるく照らす
やわい風を
ぬるいね、って言った
それだけでもう
ずっときみのことが好きで

お気に入りのぬいぐるみをポケットから少し出して、見せびらかすみたいに歩いた。ここにいるんだよって叫びながら、小さく隠れて見えなくなってしまいたかった。落ち着くのは野花の匂いを嗅いで、草っぽくてよく分からないとき。花粉症じゃないよっていうとき。両腕と両脚の力をだらりと抜いて、指だけを動かすとき。散歩中に出会う野良猫。思い出を手放す。楽しかったと書かれた地上絵。笑う宇宙人の星座。そうだとても楽しかったんだ。体と心が間に合ってよかったね。今日までにさ。

ほつれそうな服のすそを
透明のクリップで留める
これで良かったのに
きみは押入れから赤色のストライプ
出して
足元からミシンで縫いだす
ねえそれなあに
これはテープ
パイピングテープ
そのあいだ僕は
とても退屈で
けだるくて
眠りそうだったけど
きっとずっとこのまま
長く、長く生きて
その中でたくさんの
ぬるい風をあびて
眠くなって
あくびをしながら
宇宙に電話したり
それで良いと思った
それでまた
数え切れないくらい
答えのない話をする
笑われたってまた花を嗅ぐ
へたくそだってまた会釈する
それでまるく回転して
いつかいつかきみのくれた
おまじないを誰かに分けてあげる
間に合ってよかったね
体も心もさ
今に

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