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サーカスナイト

砂漠に横たわる棺桶の
中身はとっくになくなっていて
骨まで残さず幽霊になっていた

いつかいつか
砂つぶひとつに名前をつけて
あそこに帰してやろうね
あたたかいスープ、
何杯だっておかわりできる
この世に未練なんかない

ひとくちあげようか
きみのもひとくちちょうだい
そういうのずっと苦手だった
小さい体にぴったしの棺桶に
入るだけのディアボラ風ステーキ
そこに魂とかない
おいしくいただいてよ

きみの影を踏んで歩きたいだけ
後ろについて何もない世界のこと
忘れて歩きたいだけ
朝が来たら砂まみれの
足のまま同じ枕で眠らせて

ぼくの骨の幽霊
見かけたら
黙って笑って欲しい
痩せ細ったこの腕より
ずっと見事で
きみきっと気にいるよ
芸術的な曲線でさ
気楽でいい
もいちど棺桶に戻って
軽く昼寝したいくらい
それくらい他愛ないこと
でも忘れないでね
ぼくの手のひらのこと
ぼくの胸の白いところ
ずっと覚えていてね
ずっと覚えているよ
忘れないよ

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