見出し画像

3行ちょっと日記(2024/08/15)

11年前の今日、私は33時間の陣痛に悶絶していた。課金をするなら無痛分娩よりも個室だろ!と普通分娩を選んだ私は死ぬほど自分の選択を恨んだ。何度確認してもらっても子宮口は3センチから開かず、帝王切開を懇願しても『母子共に健康なので大丈夫です』の一点張り。点滴を引きずりながら病棟内を徘徊し、陣痛が1番痛い時にスクワットをするという地獄の時間を繰り返した。ようやく分娩室に移った時には陣痛から32時間を超えていて、移動できた嬉しさでハイになった私はそこから30分で出産をした。

さっきまで自分の体内にいた生き物がぬるんと生まれ出て自分の手の中で泣いているのを見た時の感動は特別なものだった。頭ではわかっていたけれど本当にこのお腹の中から人が生まれたんだという驚きと、33時間の陣痛からやっと解放された安堵感。私はこの上なく出産ハイだった。

車椅子は必要ないと歩いて病室まで戻り、生まれたての息子と2人。課金して手に入れた個室で母子同室。息子はまだ見えていないはずの目でテレビに映る甲子園を眺めていた。死ぬほど疲れているはずなのに不思議と眠れず、息子と2人甲子園を見た。あの穏やかな時間を私はきっと一生忘れない。

お誕生日おめでとう。
私と変わらなくなった足のサイズにちょっと淋しさを感じたりもするけれど。今日も元気に育ってくれているだけで100点。毎日そう思っている。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?