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自動筆記

脊椎に伽藍堂が出来上がる。
毛並みの温もりとカフェラテの匂いの類似性が巡る、夜がただ静かに訪れるから、万年筆のインクはまだ酸化の気配を見せてくれない。

深海魚の鱗のない身体を思えば、正体の無い自己と強制的に向き合わされるから、回遊するように逃げ回り、辿り着けない砂漠まで行く。

逃げ延びた先の砂つぶは、遥か昔は何者かの血肉だったのかもしれない、蜂蜜の甘い匂いが太陽に擬態し、焼ける熱気で喉粘膜が干上がっていく。

砂糖粒は星に擬態したままで、もう何万年も会えていない。遠いところで犬が鳴いているのが聞こえる、もしかすると深海魚のそれかもしれない。

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