身の丈にあった仕事を考える

新卒で入社をした会社を退社してからおよそ3年半の月日が流れた。長いようで短い歳月が経過した今、学生の頃から志していたいた人生を歩めているのだろうか。いや、全然そんなことはない。全く違う仕事をしている上に、身の丈に合わない生活を営んでいるような気がする。「あの時より楽。」そう思えるはずだったのに、理想と乖離してしまった。正直そう思う。

去年の6月下旬頃に転職活動が鳴かず飛ばずだった中、アートギャラリーでのアルバイトに採用された。その当時、「やっと自分の好きなことが仕事にできる。」と喜びの気持ちでいっぱいだった。しかし、現実は厳しかった。アートの仕事は一般職と比較すると、経営などの問題が絡み常に安定して仕事ができるわけではない。特に個人経営で小さなところだと特にそうだ。そうなると日雇い派遣を掛け持ちし、仕事が発生するのを待つしかなくなるという弊害がある。自身の収入を安定させるためにもう一つのギャラリーでもトリプルワークという形で仕事を始めたが、その数ヶ月後に企業の体制の大きな変更がありそれに伴い契約が満了。それに加え、先に入ったアルバイト先もシフトになかなか入れずしばらくしてから展覧会が終了した。それから完全に美術に関する仕事ができなくなった。

退屈な日々が続いていたある日、安定して固定で入れるアルバイト探しを始めた。
やはり美術系の仕事がしたいという気持ちが捨てきれなかった。しかし、求人数は少なかった。そうなると、常に入りやすい職種は店舗での業務だとパッと思い浮かんだ。そして自分が今までにお客様として何度も足を運んでいたお店をリストアップし、その中で一番働いてみたいところを選び、求人を探しては見つけて応募をした。

ちなみに、当時自分が面接に行って採用されたのは、ある有名な書店であった。その職場での配属先は、アートや写真、建築、グラフィックの書籍に特化する売り場だった。仕事に慣れたらフェアの手伝いができると言うこともあり、「多くのお客様に芸術の魅力を教えたい、知ってもらいたい。」という心意気を持って働き始めたが、やることは下記の業務ばかり。

・レジでの会計処理

・問い合わせ応対(接客)

・その他それらに付随する業務全般

これでは普通の書店員がやることと変わらない。配属先の売り場でアートブックフェアを週替わりで開催しているが、それに関係する仕事あまりができなかったのだ。今思えば、自分の力不足によるものだと考えられるがそれにしても悲惨な立ち位置だったと思う。専らカウンターでの業務が主軸だったため、当然色々なお客様と対話をしなければならないし、問い合わせの数だって膨大になる。常にお客様の要望をよく聞き、ニーズに沿った対応をしないといけないため、ストレスが溜まる一方。コアな客層しか足を運ばない画廊とは大違いで、精神的にも肉体的にも疲弊しまくる毎日であった。

そしてそのお店を契約満期と同時に辞め、今はより条件の良い生活雑貨店で勤務をしている。元々そのブランドが好きだったということもあり、働き始めたのだがやはり神経を尖らせて仕事をしないといけないためメンタルに負荷がかかっている。また、規模が大きいということもありかなり忙しい。わからないことや確認したいことがあっても、一部のスタッフから「1回で覚えろ」と一蹴されることもしょっちゅうだ。お客様に迷惑をかけないように早く対応を終わらせるためにそうしているのに、そんなふうにあしらわれると流石に堪える。

まあそんなこんなで今は販売員をメインとして生活をしている訳だ。色々な多くの人を相手にし、いつも気を遣ってペコペコする仕事がしたかったわけではない。あくまで生活のためにやっているようなものだ。しかも業務の一つ一つに対してベテランや社員と同等のレベルを求められることが多い。元々要領が悪く、回数を重ねて習得するタイプの自分にとってはそつなくそれらをこなせるはずがない。

だけど、ここ最近で実感したことが一つある。
それは

好きなことを仕事にすることは難しい


ということだ。それは学生時代に就職活動をしていた当時、エージェントの人から散々耳が痛くなるくらい聞かされていた言葉で(現在でも会話の中でよく言われることが多い)今になってようやく思い知った。時としては現実に妥協しなければいけないことの悲しさ、悔しさが身に沁みた。

だが、このままでは自分が本当にやりたいことが何か、どのような仕事が適しているのかなど考える余裕がなくなってしまう。1日でも早く思い描いている社会人生活を謳歌するには、軌道修正をするべく引き続き転職活動に本腰を入れなければならない。解決方法はその一つに尽きる。

本当に好きなことを仕事にすることができた瞬間、無駄に背伸びすることのない身の丈に合う人生を得ることができること間違いない。後は努力次第ではあるが、絶対により楽しく充実感を得られる生活が舞い込んでくると信じている。そんなふうに考えると、少しだけではあるが気持ちが楽になった。




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