カゴの中のトリ

私「ねえねえ、トリさん。そのカゴから出てみない?外は広くて自由だよ。」

トリ「本当だね。外は広くて自由に見えるね。」

私「でしょ?こっちにおいでよ。」

トリ「でもカゴの中でいいな。」

私「え?どうして?」

トリ「だって、ご飯だって出てくるし、カゴの中のこと全部知っているし、安心だもの。」

私「確かに、ご飯は決まった時間に出てくるね。でも毎日同じ場所でつまらなくないの?」

トリ「つまらないと思うこともあるけど、カゴの中でいいと思ってる。」

私「私はトリさんに1回だけでも外に出てみて欲しいんだ。一緒に広くて自由な世界を体験して欲しいんだよ。」

トリ「トリはカゴの中の方が居心地だがいいんだ。自由より安心の方がいいんだ。」

私「1回だけでもこっちに来ない?」

トリ「しつこいなぁ。トリはこっちの方がいいんだから、ほっといてよ。」

私「頑固だなぁ。外の世界を知らなかったら、本当にそっちが居心地がいいかどうかなんてわからないんじゃないの?」

トリ「トリは自分が居心地がいいと思っているから、外の世界なんて知りたくないんだよ。」

私「強情だな…。最後だよ。1歩だけでも出てみない?」

トリ「出なくていいよ。」

私「分かった。もう誘わないよ。」

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