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父から受け継いだもの

先月、息子の卒業式の数日後に突然父からのカミングアウト


体調が悪く、手術することになるかもしれない

詳しく聞いてみると
昨年の年末からすでに体調を崩していたらしい

心配かけまいと
娘である私や
息子である私の弟には
体調不良であることを隠していた父と母

いよいよ隠せる段階はすぎて
手術をするかどうか
という段階になって
私に連絡をしてきた父

父が携帯電話を使って私に電話をかけてくるなんて
一生に1回あるかないか…
悪い予感しかしなかった

聞けば病状はかなり進行していて
少しでも長く生きたいのなら手術以外の選択肢はない

衝撃だった

命は限りがあるって頭ではわかっていても
なんでだろう
親はずっと生きていてくれるような気がしていたのは

病状を聞いてからこの1ヶ月の間
主治医の説明、入院、手術など
付き添いで何度も病院に車を出すことになった

父は
私が学生時代に車の免許を取ることに大反対で
頭ごなしに怒られたけれど
車を運転できることが少しでも役に立ったようだ

20時間にも及ぶ手術
無くした声
歩けなくなった体

プライドの高い父は

生きたい
でもこの体はみっともない
転んだ姿を誰かに見られるくらいならリハビリなんてしたくない

そんなふうに
心が折れかけていたようだけれど

父にとって初孫である私の息子の顔を久しぶりに見た今日


孫と手をつないで歩きたい

そうはっきり意思表示をして
孫と手をつないで
車椅子から立ち上がって見せた

当たり前にあると思っていた足が
当たり前にできると思っていた歩くということが
当たり前に話せていた言葉が
当たり前ではなかったことに気づいた瞬間

全部が奇跡に見えた

転んだからって誰も父のことを笑う人はいないし
手術のあとを指さす人もいない

自分に全集中で生きて!

力強く頷いた父

これまで父からかけられた言葉の数々に私が傷ついてきた分
これからはあなたの生き様から学ばせてください

しばらくの間
家族の時間を大切に紡いでいきたいと思った春の日でした


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