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埼玉西武ライオンズがドラフトで二遊間を指名するべきワケ|戦力図から補強ポイントを考える【2024ドラフト】


まえがき

2024年シーズン、49勝91敗3分.350という球史に残る敗戦の日々を過ごした埼玉西武ライオンズ。松井稼頭央監督の休養、渡辺GMが監督代行兼任。そしてレジェンド2人が共にチームを去った。
来季は西口2軍監督が1軍監督に就任し、外部からは鳥越氏がヘッドコーチに就任。仁志氏を野手チーフ兼打撃コーチ、立花氏を打撃コーチ、大引氏を内野守備走塁コーチとして招聘するなど、チームの再建が始まっている。
とにかく打てない、点が取れない、守備でも基本的な連携ミスが多いという野手陣の強化が最重要課題。秋季練習では、野手陣が来季の巻き返しへ、練習に取り組んでいる。

西口監督をはじめとした首脳陣の下、新たな時代を創るため、どのようなドラフトを行うのか。
指名するべきポジションとその優先順位について、考えてみる。

西武の現有戦力

図:西武戦力表

野手について

野手陣を底上げするためにも、今世代で上位評価されている野手の獲得は必須。
今季も1軍では外野手が固定できずレギュラーと呼べる選手は未だいない。
となれば外野手の競争に加えられる選手の獲得を目指すのか。
しかし外野手は人数で見ると十分足りている。
正確には、「24〜30歳の1軍に出始める年齢から主力になっている年齢」に密集している。
外野手では、22歳以下の世代かつファームで経験を積ませたい選手の指名を検討したい。もしくは現在の1軍戦力に割って入る選手の獲得を狙うか。
いずれにしても、他に優先するポジションで有力なドラフト候補選手がなければ1位指名を検討するという状態だ。こればかりはその年のドラフト市場次第。
来季の1軍外野陣を考えると、西川・岸が最もレギュラーに近く、ベテランの代打の切り札栗山、新外国人で4枠。あとは長谷川・蛭間・奥村の競争。不振や怪我などのアクシデントがあれば鈴木・松原に出番が回ってくる。

終盤はセンターとして定着した西川愛也。チーム内の外野手で唯一100試合を超える104試合に出場した。100試合以上に出場したのはチーム全体でも源田・外崎・古賀・西川の4人だけだ。長打力のある打撃とヒット性の打球をアウトにする守備力は、来季我慢してでも使い続けたいところ。出塁率は求めないので、3番か5・6番センターとして要所で打点を稼げる選手になってほしい。レギュラーさえ掴めば、ゴールデングラブも夢じゃない。たまにしょうもないバックホームで進塁のスキを与えることがなくなってくれれば。(これは長谷川の方が酷いのだけど…)

岸は4番を任される時期があるなど一定の活躍を見せた。
2ストライクになるとわかりやすくバットを短く持ち、なんとか食らいつこうとしているのが象徴的。
今季の若手野手全体に言える、あからさまに直球に振り遅れることがなくなっていけば、今季より安定するのでは。

外野手よりも、将来二遊間を任せられる選手の方がいない。
滝澤、児玉のような小粒な選手が1軍戦力には多く、平沼や元山にしてもバックアップや併用で良さを発揮してくれているような選手。
育成の金子功児、未知数な谷口が将来支配下になってレギュラーになってくれと期待するのは良いが、相当な時間もかかるだろう。育成選手は支配下になって少しでも1軍戦力になったら儲けもの。期待はしてもそこに頼ってはいけない。
また、二遊間というポジションを助っ人外国人で埋めることも難しい。
攻撃面を期待したい外国人選手に、打撃プラス守備でも高いレベルを求めなくてはいけない。そんな選手はそもそもメジャーリーグでプレーできている。
つまり、外崎源田の後釜を育てないと、スポットで外国人に頼ることもできず、攻守で大きな穴となってしまう。
かつて中島移籍後の所沢遊撃隊再びという事態が迫ってきている。

投手について

高橋光成の0勝11敗というセンシティブな数字が際立つが、それでも防御率は3.87にまとめている。たしかに踏ん張れない試合が多かったり、その1点をやらなければなと思う試合が目立った。そこに打線の弱さが化学反応を起こしてしまった結果でもある。
そんな中でも、今井がエースとして一本立ち。2年連続の二桁勝利も達成し187奪三振で奪三振王のタイトルも獲得。これまでの言動からも、役割を与えることで成長していくタイプな背番号48は、ライオンズの新たなエースナンバーになるかもしれない。
日本代表左腕の隅田もマダックス達成するなど9勝10敗と、援護に恵まれない中で1年間奮闘した。
ルーキー武内は10勝6敗とチームで最も貯金を作り、規定投球回にも到達。リーグ2位の防御率2.17と文句なしのルーキーイヤーを送った。際立つのは四球の少なさで、あの加藤貴(17個)に次ぐ22個だ。ルーキーとは思えない堂々たるピッチングは、ファンに数少ない希望を見させてくれた。希望といえば渡邉も素晴らしい投球を見せ続けてくれた。14試合で3勝4敗防御率2.67と、打線の援護に恵まれない中でも要所を締める粘りのピッチングで、完全に覚醒したと言ってもいいだろう。シーズン終盤に打球直撃からの怪我で離脱してしまったが、来季は開幕からローテ入りに期待したい。
平良はコンディションが整わず、消化不良なシーズン。それでも復帰後はリリーフとして頑張ってくれた。来季はどうするのかわからないが、本人の志向から言えば先発に戻るだろう。

これだけ見ても、先発6枚揃ってしまうのである。
與座、青山、菅井、羽田など谷間を埋める先発から楽しみな若手も揃っている。

カツカツな状態になっているのはリリーフだ。
守護神アブレイユと左のセットアッパー佐藤隼輔が頼みの綱。
甲斐野は怪我の回復に時間が掛かり19試合の登板に終わった。
本田はパフォーマンスが低下してきていて、平井もほとんど1軍で投げることができなかった。
中村祐太がどんな展開でもショートからロングまでこなす貴重な働きをしてくれて、現役ドラフトで獲っていなかったらと思うとゾッとする。
田村が台頭してきたことは好材料で、他のリリーフに比べて使い減りしてない分、来季はさらに登板数を増やせそうか。
松本は先発でもリリーフでもピリッとせず終わってしまった。果たして来季どのポジションで投げるのか…。
ボータカハシは今季先発転向したものの、このような状況もあって途中からリリーフに。来季はこのままリリーフ継続するのではないかと考えている。
不振が続く水上、豆田がどれだけやれるのかによって、リリーフの台所事情が変わってくる。

ドラフトでは、即戦力リリーフの獲得は行いたい。
将来性のある先発投手はいくらいても困らないので、下位や育成で指名していくだろうと思われる。

捕手について

正捕手の古賀は一時離脱もありつつ、昨季を上回る105試合に出場。炭谷加入もありつつ、物足りなさはあるがなんとか正捕手の座はキープした。
しかし思った以上に炭谷も試合に出場したなという印象。2番手捕手として49試合。3番手以降の捕手が伸びてきていない。
柘植は42試合に出場したが、あまりにも打てない。もう中堅選手であることを考えると、徐々に厳しい立場になってくる。牧野・古市がどこまで台頭してきてくれるか。
現状、育成も含めて7人体制。岡田が引退したことで、少なくとも1人捕手の獲得は行うだろう。
20代前半以下のファームで試合経験を積ませる捕手になると思うが、もう1人、1軍の物足りない捕手陣に当てる即戦力捕手を獲得するのかどうかは注目。

ドラフト指名の方向性

現有戦力を踏まえて、ドラフトでの補強ポイントに優先順を付けてみる。
①将来レギュラーになれる二遊間
②捕手
③即戦力投手(左腕リリーフだと尚良し)
④強打の三(一)塁手
⑤素材型の高校生外野手
⑥将来の先発候補となる高校生投手
このようなイメージになった。
①~③までは間違いなくドラフト本指名が必須レベルだ。
④もできるなら指名したいが、どの球団も打てる野手を求めていると思うので、なかなか残っていないか。
⑤~⑥は下位で残っていれば指名したい。

1位指名は宗山塁(明大)か

1位指名最初の入札は野手に行くと考える。
競合し抽選に外れた場合は、無理やり野手に拘るのではなく投手に行く選択肢もあるが、最初の入札では野手だ。
なぜならば今年のドラフト候補にはプロスカウトが1位評価する野手が数人いるというビッグチャンス。
投手は毎年、その世代でトップクラスの評価を受け1位競合レベルの選手が出てくる。
野手は良い選手が出てきても、1位競合レベルとなると投手よりも限られる。
今年は二遊間に宗山塁(明大)という競合必須の選手が出てきた。
西川史礁(青学)や渡部聖弥(大商大)など強打が魅力の右打ち外野手も1位候補として話題に上がる。
ただそれよりも、先述したように西武のドラフト補強ポイントは二遊間が優先される。
西武は数年後の二遊間レギュラー候補に目途が立っていない以上、宗山はなんとしてでも獲得したい選手の1人である。
さらに付け加えるなら、西武のゴールデンルーキー武内のようなイケメンである。
武内-宗山のお立ち台とかヤバイですよ。想像してみてください。
・・・死人が出る。

次に候補として上がるのは石塚裕惺(花咲徳栄)か。
地元埼玉県の高校であり、今年飛躍のきっかけを掴んだ西川愛也の出身校でもある。
そんな学校から、ドラフト1位として評価される強打の遊撃手が現れた。最終的に遊撃手として大成するのか、三塁手あたりになるのかわからないが、いずれにしても二遊間のレギュラー候補。西武にとってはうってつけの逸材だろう。

抽選で外した場合、その他に1位候補として考えられそうな野手を何名か取り上げる。
麦谷祐介(富士大)外野手は身体能力抜群の強打者。プレースタイルもかなりチームを鼓舞するようなタイプに見えるので、多少粗くても麦谷が活躍すればチームも盛り上がる、そんな選手になってくれそう。愛也麦谷で右中間形成したら面白いのでは。
吉納翼(早大)外野手は左の強打者。ただし同じ早大から同じ外野手の蛭間を2年前に1位指名したばかりで指名するとは考えにくいか。
庄子雄大(神奈川大)内野兼外野手はとてつもない俊足を武器にする。流石に1位ではないだろと自分でも思うが、気になってる選手なので取り上げておく。打撃も年々成長曲線を描いているのが好印象で、歴代リーグ通算安打記録を更新する115安打(10/19時点)を放っている。内野ゴロで一塁到達までのスピードが衝撃的。今年現役を引退した金子侑司のようなスピードスターになってくれるのではと夢を見たい。
投手指名に移行するのであれば、篠木健太郎(法大)、佐藤柳之介(富士大)、藤田琉生(東海大相模)あたりか。

2位指名はシンプルに上位評価した選手

1位指名の候補として上げた選手が残っていれば指名するも良し。
タイプの違うところで強打の三(一)塁手という指名もあり得る。
柳舘憲吾(国学院大)、佐々木泰(青学)内野手あたりが候補になってくるか。
投手ならば、吉田聖弥(西濃運輸)、伊原陵人(NTT西日本)などの即戦力が候補。
宇野真仁朗(早実)、齋藤大翔(金沢)らの高校生遊撃手を西武スカウトはどのように評価しているか。

3・4位で即戦力投手と捕手確保

ウエーバー順で最初に2位指名を行うため、3位が周ってくるころには、おそらく上位評価される野手は残っていない。
そう考えるならば、連続指名できるここで投手と捕手を確保してしまいたい。
投手では、安徳駿(富士大)、宮原駿介(東海大静岡キャンパス)、清水大暉(前橋商)、沢山優介(ヤマハ)、関野柊人(神奈川フューチャードリームス)。
捕手では、椎木卿五(横浜)、印出太一(早大)、野口泰司(NTT東日本)、城野達哉(西濃運輸)、町田隼乙(埼玉武蔵)。
このあたりの選手が候補になってきそう。

5位以降は残りの補強ポイントを

ここからは4位指名までの結果によって変わってくる。
獲得できていないが補強しておきたいポジション。さらに層を厚くしたいポジション。ポテンシャルを評価したダイヤの原石。残っている選手でそれらに該当する選手を指名していくことになるだろう。

報道ベースで、入団テストを受けていた木村翔平(GXAスカイホークス)や根岸辰昇(ノースカロライナA&T州立大)は育成選手として面白い存在になりそう。
3軍の野手コーチを増強したので、こういった打力にアピールポイントがある野手を育成から育て上げるという試みも可能性はあるのではないか。

おわりに

以上が、埼玉西武ライオンズの2024年ドラフト指針になるのではないかと考えた。
勿論現実は全く違う方向になる可能性もある。
プロのスカウトが評価し、ライオンズの選手として獲得したいと指名をした選手たちは、だれが入団してもワクワクするもの。
今年も新たにライオンズの一員になる選手が呼ばれる瞬間を楽しみ、入団してくれた選手は全力で応援したい。


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