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共変関係がどうやって因果関係を決定するか?「批判的思考」+3

クリティカルシンキングシリーズの続きです。(+1,+2

前回までで、原因を適切に推測するのがむずかしい理由を説明しました。

では、因果関係を上手に推測するにはどうすればいいのでしょうか。1つのやり方として、因果を読み取るための明確なモノサシを用意するのがいいでしょう。そのモノサシに当てはまっていれば、因果関係が正しいと考えればいいのです。

因果関係の決定に使えるそのようなモノサシは、大きく分けて3つあります。今回はその1つの「共変関係」について説明していきます。

出来事が共に変化しているか?

たとえば、Aが原因で、出来事Bが起きたとしましょう。共変関係とは、AとBどちらにも変化が起きている事実を指します。言い換えると、「この2つは相関しているか?」です。

天気予報が雨であれば、傘を持って出かける市民が増えますよね。これが共変関係です。

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日常的に引き起こる例を出しましょう。

「クレヨンしんちゃん」に登場するしんちゃんの母親みさえが、しんちゃんが部屋を散らかしすぎて怒ったとします。家族間でよく見られる光景ですね。この現象は、しんちゃんの部屋の散らかし度合いとみさえの怒りレベルで共変しています。

つまり、一方が変化したとき、もう片方も変化しているか、これが大事なのです。

相関の強さと方向性に着目する

Aが変化したから、出来事Bが起きている。

ではこの現象を具体的に把握するためには、どこに注目すればいいのでしょうか。相関関係を他人に説明するときに、具体的な違いを説明できたほうが相手の理解度も変わります。

共変関係の事実を伝えるだけでなく、どの程度の相関があるのか、わかりやすく説明する方法を考えてみましょう。

まず大事なのが、相関の強さを把握することです。

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先に例に出したしんちゃんとみさえの共変関係で考えてみましょう。しんちゃんの部屋の散らかし度合いが高ければ高いほど、みさえの怒りは高くなっていきます。

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つまりこの共変関係は、強い正の相関があると言えます。この相関関係に気づけば、しんちゃんはみさえを怒らせないために部屋を片付けようとするでしょうし、みさえもカリカリしたくないはずなのでしんちゃんに適切なしつけをしようと考えるはずです。

相関関係が大事なのは、1つ目の出来事の状況を分析すれば、2つ目の出来事を予測できることです。空が大きな雲に覆われていたら、傘を持ってでかけますよね。相関を知っておくと、日常生活でも役立つのです。


次に考えておくべきなのは、相関の方向性です。

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片方の値が高く(低く)なると、もう片方も高く(低く)なる場合は、関係性が「正」と考えられます。一方で、片方が高く(低く)なると片方が低く(高く)なる場合を「負」の相関と言います。

たとえば、しんちゃんはいつも、シロの散歩へ行かずにみさえに怒られています。シロの散歩へ行かない理由は多々ありますが、大きな要因はかすかべ防衛隊と遊ぶ回数が多いことです。

友達と遊ぶ頻度が多ければ多いほど、シロが散歩へ行く回数が減っていくのです。

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相関が「正」と「負」で、相関の強さが決まるわけではありませんが、方向性を理解しているだけでも、次の行動の予測がつきやすくなります。メタに現象を認識しやすくなりますよね。

まとめ

因果関係を適切に理解するために必要な第1要素、「共変関係」について説明しました。共変関係は奥が深い話なので、実生活の例を参考に深ぼってみてください。

【考えてみよう】
「窓が割れている家の数とその街の犯罪発生率」に相関があったとする。どのような関係があるだろうか。そして、共変関係が因果関係を示しているのか、疑ってみよう。

動画の解説はこちら↓↓↓

クリティカルシンキング「因果関係を決定する基準:共変関係」+3

読んでいただきありがとうございます。これからも読んでもらえるとうれしいです。