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1年越しのツアーを叶えた日 〜「sumika Online Live -Daily’s Lamp- さいたまスーパーアリーナ」ライブレポ〜

2020年、沢山のライブが中止・延期に追い込まれてしまった。これにより、行けなくなった公演も多かった。

このバンドのライブもそのひとつ。
私にとって、前19年にどハマりして以降、本格的に複数公演参戦できると思ってたライブだった。しかも、行く予定だった3公演とも一緒に行く相手が居た。こんなことは、私にとって初めてのことだった。行くそれぞれの街で、会える人がいる。そんなことも、楽しみのひとつだったのだが…

思えば、このバンドほど一人ひとりとの出会いを大切にするバンドは居ないような気がする。今まで観たどのライブでも、「あなたに届けます」という言葉を発してたような印象を覚えるし、鳴らすどの曲にもそんな温もりが包まれているような印象を覚えていた。

振り返ると、今日のライブはそんな温もりに包まれたライブだった。それ故に、彼ららしい色に包まれた2時間が流れていたんだな、と思うのです。

2021年2月9日
さいたまスーパーアリーナより、
sumikaが全国にライブを届けました。

Daily’s Lamp

日本のロックバンド・sumikaは2020年3月から全国11会場16公演を巡るバンド初のアリーナツアー「sumika Arena Tour 2020 -Daily's Lamp-」を予定していた。同じ時期にリリースしたEP盤『Harmonize e.p.』を引っ提げたこのツアーは、キャリア最大の動員数を記録するツアーだったに違いない。

(↑写真2枚は、Daily’s Lampツアーのグッズ。絶賛通販サイトで発売中です!)

思えば、前年となる2019年は、sumikaの飛躍の年だった。アルバム『Chime』のヒット、リリースした新曲が大型タイアップに起用されるなど、その人気がより広まった印象を覚えた1年だった。そんな中でのアリーナツアーは、彼らの熱がより高まるライブになるはずだった。

しかし、状況はそれを許さなかった。

全国で感染者が拡大し、様々なライブが開催の見合わせになる中で、sumikaはツアーの全公演延期を決断した。その後、さいたまスーパーアリーナ公演の振替を、2021年1月と2月に、ライブ開催に関するガイドラインに従った形で開催することが決まっていたのだが、年末からの感染再拡大により、ライブの中止・ツアーの開催断念が決定したのだった。

そんな中、sumikaチーム(バンド4人やそのスタッフ陣ら)は、チケットの払い戻しに関して、とある提案をした。それは、チケットの払い戻しをしないで、予定していた「Daily's Lamp」のセットリストを披露する配信ライブが観れる配信チケットと記念グッズに振替するというものだった。実際に観客を入れて開催することが叶わなかったライブを、無観客で生配信で行うというものが、この配信ライブの趣旨だった。

私は、持っていたチケットの一部を払い戻しして、残った枚数分を配信で観ることにした。残った枚数の中には、一緒に行く予定だった友達が観れるように調整をすることにして、この日を迎えることにした。

家のある木の下で

開演 20:06 終演 21:54

定刻から少し過ぎてから、画面が暗転し、ライブの幕が上がった。

ランプの明かりとオルガンの音色が響き渡り、一瞬にしてライブの世界に耳と目が誘われていく。客席が映し出されると、席には今回のツアーのTシャツがかけられている。ステージに画面が切り替わると、幕に映し出されたsumikaの4人とサポートメンバーの井島啓介(Bass.)のシルエットが映し出された。ライブは「センス・オブ・ワンダー」で幕が開いた。

序盤から、sumikaは一気にライブの勢いを加速させていった。片岡健太(Vo./Gt.)が「Daily's Lampへようこそ!sumikaはじめます」と挨拶すると、そこから「ふっかつのじゅもん」、「Flower」を続けて披露。

「直接会えないのは残念ですけど、形を変えてでも気持ちは伝わると思ってます」と話し、バンドは「カルチャーショッカー」、「Lovers」とバンドの新旧の鉄板チューンが並ぶ序盤戦となった。

「生配信を見るという選択をしてくれてありがとうございます」と話し、最初のMCを始めた。バンド初の生配信に「緊張する」と話したバンドは、生放送・無修正という状況にドキドキしている様子。一夜限りのライブに対して、片岡は「生で観たいから払い戻ししたという選択を尊重したいと思います。だけど、生配信を観るという選択をしてくれた人のことを絶対に間違ってないと言い切りたいと思います。そんなライブをしたいと思います」と話し、「イコール」へと曲を繋げた。

各メンバーのソロが光るジャジーな展開の「Strawberry Fields」、冬の残り香が漂う「願い」、小川貴之(Key./Cho.)のピアノソロから入り、花びらが舞う中歌った「晩夏風花」と序盤を駆け抜けた。「晩夏風花」は、昨年エンタメ業界や医療従事者へのチャリティーとして開催された「Dress farm 2020」で発表された楽曲のひとつで、ライブで披露するのはこの日が初となった。

(ある意味)伝説的なライブの先に?

ライブ中盤になり、「やっと(空気感に)慣れてきた」と和むバンドの4人は、ここでメンバー紹介に突入した。客席からの反応がない中で、バンド自身がリアクションをしながらMCに続いた。黒田隼之介(Gt./Cho.)は「離れているけど繋がっているというこの感覚は配信ライブじゃないとなかなかないものだなと思いますので嬉しいです。なにせ1年お待たせしておりましたし、私たちも待っていましたし、このメンバーでスタッフチームで、皆さんの前でライブが出来るのが一番幸せです」とこの日の思いを話す。荒井智之(Drum.)は「じっくり目に焼き付けて楽しんでください」とこの日の意気込みを伝え、小川貴之は「1年間大変お待たせしてしまいました。その1年間溜め込んだあなたに気持ちに応えるように、全て取り返すつもりで、尚且つ逆転の得点を決める覚悟で最後まで思い切り音楽をしたいと思います。色んな楽しみ方をしながら楽しんでください!」と話した。片岡健太は「今日であってくれてありがとうございます。音楽家として誠心誠意できることをしたいと思います」と話し、続けてゲストメンバーの"いじー"こと井島啓介(Bass.)を紹介した。

ステージセットの木に家が刺さった様子やスタッフチームの仕事を絶賛しながら、ライブは中盤戦に突入。「予定ではステージを移動して、楽器の編成を変えて披露したいと思ってた」と話し、バンドの編成を変え、アコースティックセットに転換。5トン(?)の切り株に座りながら、sumikaの4人はステージ前方に移動。「ものすごい近い距離に居る感じで」と言い、アコースティック編成で「アネモネ」披露した。4人はライブを観ているチャットのリアクションに反応しながら、ピアニカソロを披露した小川の演奏や「無修正」で展開されるライブの熱に呼応した。同じ編成で「友達の結婚式で流れていた曲」と片岡が話し、「ここから見える景色」へとライブを続けた。

アコースティックコーナーが終わり、画面が転換。焚き火の音と部屋の明かりが消えていく静かな夜になっていく。片岡と小川の2人は、ボーカルとピアノだけで「溶けた体温、蕩けた魔法」を静かに歌い上げた。

荒井のドラムカウントで始まる「絶叫セレナーデ」からライブは後半戦に突入。片岡は楽しいと話しつつ、「さいたま(スーパーアリーナ)の天井が突き抜けるのやつ、お届けしたいと思います」と話したものの、曲紹介のタイミングをミスしてしまい、曲をやり直す展開に。生配信・無修正というライブ感が出るハプニングで、ステージ上は笑いに包まれる。

ライブは「MAGIC」でカラフルな照明に包まれながら、ポップスが展開して、続く片岡と小川の掛け合いが印象的な「ライラ」では空気感が変わりタイトな展開に。続いてライブ初披露となった「Late Show」では、片岡が出だしの歌詞を「あげるあげる つねるはしゃぐ 時にはしゃぐ つねる...」とあまりにはしゃぎすぎる間違いをして曲を中断。メンバーから「はしゃいでんなぁ!」と突っ込まれるほど、普段とは違う中で2度止まるハプニングに戸惑う片岡。「ある意味伝説的なライブになる」と話し、曲をやり直す。疾走感が印象的なナンバーは、生で聴くと盛り上がる1曲になるのかもと思いながら、そんなハプニングも込めて楽しんだのだった。

前述の2つのハプニングから「とんでもなくライブ感あるな」と笑うsumikaの4人。「だって緊張するんだもん、だからあなたがいないとダメよ。気付いちゃった、知ってたけど。会いたいけど」と片岡は言い訳しながらも、観客の前で歌いたい思いを吐いた。

片岡は続けて、「どうにか音楽を届けたいなと思うので、色んな形で提案すると思います。今日もそうだし、人を徐々に入れてライブしてくとか、新しい形を考えて提案します。あなたが選んだことが全てでなので、"今回は行かないでおこう"とか"今回は行こう"とか、それを決めてあなたが動いてくれたら、それが全てです。他の人がなんと言おうと、"なんで行ってんの?"とか"なんで行かないの?"とか色んなこと言うと思いますが、僕らは変わらずsumikaのドアを全開に、"おかえりなさい"という準備をして待っています。いつでも帰ってこれる家であるようにいます」と、これからへの思いを画面越しに伝え、初期の名曲「雨天決行」へと続けた。

「2020年に見つけた、2021年に伝えたいこと。ラスト1曲歌って帰ります」と片岡は話し、1月にリリースされた楽曲「本音」を披露。「今日は出会ってくれてありがとうございました。また必ず会いましょう、sumikaでした」と話し、ライブは終演。メンバー4人が前に出て、片岡は「Daily's Lamp、次に繋げる形でもっといいことができないか考えます。何よりみんなが元気でいてくれることが一番なので、お互い健康に気を付けながら、また笑って会いましょう。sumikaでした!」と挨拶し、4人はステージ中央にある気の中にある家に帰り、ステージを後にした。カメラがアリーナ席の様子を映すと、ツアーグッズの黄色いTシャツで「また会いましょう」という文字が映し出され、ライブの幕が下ろされた。

今回のライブは、sumikaらしい温かさに包まれたものだったな、と思う。2回のハプニングによるライブ感やバンドのテンションも生感や"無修正"という面白さになったのだが、曲ごとの熱量やいつもと変わらないような展開、そしてバンドやスタッフチーム一体となって「Daily's Lampを実現させよう!」とした展開に、彼らの誠実さやライブへの思いがあったんじゃないかな、と思うのです。

デイラン生配信の翌日となる2021年2月10日は、ファンクラブ・ATTiC ROOMにて、オンラインライブ「sumika Online Live -ATTiC ROOM PARTY 2021-」の生配信を予定している。このライブはどんな形になるのかも、見逃せない展開だ。来月には2年ぶりとなるアルバム『AMUSIC』のリリースも決まっている。2021年のsumikaがどんな景色を見せるのだろうか。そんなことにワクワクしながら、今日はATTiC ROOMの配信を楽しみにしたい(生憎今日は予定があるので、アーカイブで観ることにするけど、確実に楽しみますので!!)。

(写真はsumika公式Instagram(@sumika_inc)
、公式Twitter(@sumika_inc)より)

この日のセットリスト

sumika Online Live
-Daily’s Lamp- さいたまスーパーアリーナ
2021.02.09 さいたまスーパーアリーナ

01, センス・オブ・ワンダー
02, ふっかつのじゅもん
03, Flower
04, カルチャーショッカー
05, Lovers
06, イコール
07, Strawberry Fields
08, 願い
09, 晩夏風花
10, アネモネ
11, ここから見える景色
12, 溶けた体温、蕩けた魔法
13, 絶叫セレナーデ
14, MAGIC
15, ライラ
16, Late Show
17, 雨天決行
18, 本音

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