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ツイッターについて

 ツイッターのシンボルである小鳥、名前をTwitterバードとかいうらしいけども、あれは無の化身である。うっかり虚無SNSを開いてタイムラインに流れる文字列に見入ってしまうと、貴重な人生の一部が広告料という形でTwitter社の利益に変換されてしまうのである。虚無と戯れていなければ得ることができたかもしれない無数の出会いやヒラメキは、永遠に失われる。しょうもないネタツイ達で頭をいっぱいにするわたしたちは、カラッポになってゆく。みんなツイッターを手放そう。

 こんなことをツイッター上で呟けば、10分も経たぬうちに検閲に引っ掛かり、小鳥とツイ廃に対する誹謗中傷が云々といった理由でアカウントが凍結される可能性が高い。真実が広まることはT witter社の利益に反するからである。そしてツイ主が不当な扱いに憤っていると、部屋のベルが鳴る。

「はて、こんな時間に来客とは、誰であろう。」

 ツイ主は暫く無視してみることにする。これはいつものこと。すると扉の向こうから、

「S○P財団です。」

 扉のある方向に背を向けたまま、ツイ主は驚く。ツイ主は○CPオブジェクトではない筈だし、そもそもあれは架空の組織ではないのか。

「SC○財団です。」

 もう一度聞こえた声は、最初の声よりも大きかった。大きいだけではない。ツイ主は、訪問者の声が、先刻と比べて不自然にはっきりとしていることに気づく。扉の向こうから発せられた声ではない。訪問者は、部屋の中にいるのだ。


 その後ツイ主がどうなったのか、誰も知らない。

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