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実際の体験とVRの体験でルイ・ヴィトン財団美術館を知る『The VR Experience -Fondation Louis Vitton-』:XR映画ガイド第21回

今回、紹介するのはフランスのパリにあるファッションブランド、ルイ・ヴィトンが手がける美術館ルイ・ヴィトン財団美術館(Fondation Louis Vitton)で体験できるVR作品『The VR Experiece -Fondation Louis Vitton』です。2021年にVenice Film Festivalで体験賞を受賞した『LE BAL DE PARIS DE BLANCA LI』と2022年に同じくVenice Film Festivalにノミネートした『RENCONTRE(S)』をファッションブランドCHANELが手がけて話題を作る中、世界のファッションブランドもVRやAR、MRなどを活用してブランドとしての様々なメッセージを送っています。

ルイ・ヴィトンが発表したこの新たなVR作品は2014年10月にオープンした近代建築の鬼才フランク・ゲーリーの設計により建てられたルイ・ヴィトン財団美術館の魅力に迫る内容になっています。作品ではVR空間内にその美術館が再現され、建物の特徴をツアーガイドが案内します。VRコンテンツとして、体験者は巨人の視点でミニチュアの建物を見下ろしたり、小人となって、建物の細部を観察したりすることができます。クライマックスでは通常では行くことのできない美術館の屋根の上に立ち、そこから見える景色を一望し、さらに屋根の上から空に体が浮き上がり、空から美術館、パリの街を見渡すことができます。自分の体が浮き上がった瞬間には、思わず声が出てしまうほど驚き、感動するほどの体験でした。

見所:実際の体験とVRの体験でルイ・ヴィトン財団美術館を知る

この作品は実はVRコンテンツ内の体験だけではなく、ルイ・ヴィトン財団美術館を訪問し、美術館の中を探索することから作品体験が始まっています。ルイ・ヴィトン財団美術館は6階建ての建物になっているのですが、各階に建物についてのテーマがあります。1階はドキュメンテーションというテーマで、美術館が計画される時から開設までの記録を知ることができます。2階は建設/スタジオで、この美術館を建設するためにフランク・ゲーリーが設計と研究を重ねて、30件以上の特許申請を重ねて建てられた挑戦的な作品だということを知ることができます。3階は材料というテーマで美術館で使われている素材を知り、4階はデザインについてで、見た目斬新に見える建物のデザインなのですが、森の中にある美術館ということで自然環境を考慮しながら歴史と文学を考慮に入れたデザインになっていることがわかります。5階がこの美術館を建てるまでに至った背景、そして最上階の6階はパリがテーマになっており、テラスからルーブル美術館やエッフェル塔、凱旋門を見渡すことができます。それは、あたかもルイ・ヴィトン財団美術館が新世紀の建築を象徴する記念碑的な存在であるということを感じられます。

VRの体験前に美術館内部を実際の足で見て歩き、さらにVRデバイスを装着して、コンテンツを体験することによってルイ・ヴィトン財団美術館の建物の物理的、精神的な価値を知ることのできる作品になっていることに気づくことができます。

作品データ

タイトル:The VR Experience -Fondation Louis Vitton-
ジャンル:アート/建築
制作:EMISSIVE
制作年:2023年
制作国: フランス
メディア:VR/6DoF

Web:https://www.fondationlouisvuitton.fr/fr/evenements/l-experience-vr

この連載では取り上げてほしいVR映画作品を募集しております。自薦他薦は問いません。オススメ作品がありましたら下記SNSのDMで送ってください。よろしくお願いします。
待場勝利:https://twitter.com/km19750526
玉置淳:https://twitter.com/room402g

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