冬の絶望

昔、私は根拠のない自信で人を馬鹿にしていた

アイツみたいにはなりたくない、あんな奴ダメだと

勉強はそれなりに出来た、嫌味ではなく

社会に出ればこれ以上の悩みや不安は取り除かれるものだと思っていた

大抵の壁は超えられると思っていた


全てが立ち塞がってしまったのは何故


今彼らは私が望んでいる次元で生活しているというのに

私は何も満足に出来やしないではないか!

仕事も碌にこなせない私、趣味の音楽もドロップアウトし、友達も少なく、彼女には皆去っていくだろうと言われ

対して、昔、見下した人々、見限って遠ざけた人々は立派に自分の与えられた役割を果たし、幸せそうに笑顔の写真を投稿する

その自信に満ちた笑顔に毎朝裁かれる

「お前は人間失格だ、お前に人並みは与えられない

今まで散々人を見下し、己の僅かな能力を食い潰しながら生きてきたツケを払え」  と


そう言えば、今朝の積雪は数年に一度の大層なものだと報道がされていた

身体も自由に動かない私は

ただ感覚の湧かないその報せを聞きながら

外を眺め

己の無力が喉を通るのをただ知覚している






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