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豊かさとは〜竪穴式住居に泊まってみた〜

11月。長野県糸魚川市へ行ってきた。
旅の目的は、長者ヶ原遺跡の竪穴式住居に泊まること。

長者ヶ原遺跡には、縄文時代中・後期(5,000-3,500年前)に栄えた集落跡が埋もれていて、柱跡から復元された竪穴式住居を見ることができる。

史跡公園になっていて誰でも自由に見学できるけれど、普段泊まることはまずできない。
 

防災・焚き火のプロと糸魚川市の魅力を発信し続けている地元の人のおかげで生まれたこのイベントに、ご縁あって体験させてもらえることに。

西は香川県、東は神奈川県・鎌倉から9人の大人たちが集まり、ひと晩を共にした。


今夜の宿、竪穴式住居20号。
水を外に流す茅葺き屋根。
雨が降り続いてる一日だったけれど、
全然雨漏りしなかった。
集落にある竪穴式住居の入り口は全て東を向いていた。
日当たりと、天気を読むためだとか。
(日本は天候が安定していると西か南の風が多く、
東から吹く時は天気が崩れる予兆になる。)
火の対流が起こりやすい構造。
通気性や湿度、断熱性まで考えられてる。
すごい。


竪穴式住居を保存・公開している史跡は全国にたくさんあるけれど、宿泊という体験も含めてオープンにしているのは糸魚川だけだそう。

地域の人や県外から来る人たちに場を開きながら、体験を通して"いまに伝える"というあり方。
それを企業と行政が協力してやってるのがすごいと思った。


水源を探しに森へ。
今もある水源。
集落は水源を起点に作られていた。
焚き火のプロやアウトドア用品を作る職人さんもいたので、
ものすごい絵面。
火事は元より細心の注意をしながらではあるけれど、
実際に火まで起こせるとなると
体験のリアリティが一気に縄文時代に近づく。


火を囲み、語らう夜。

ここまで便利ではないにしても、毎晩火を囲み、
仲間と生きた縄文時代はかなり豊かだったのかもしれないと思った。

翌日は晴れ。
朝さんぽがてら森を散策。
木々が伸び伸びしているのは土がいいからだった。
よくみると生き物のよう。
住まいと自然の境目がないのがいいよね、
なんて話も広がった。
当時は集落の真ん中に墓地があって、
それを囲うように住居が立ち並んでいたそう。
死者とも"共に生きる"というあり方だったのかな。


時々感じる不便さの中に、日頃当たり前に使っているもののありがたさを感じたり、無くてもいい・「ない」の中に全てが「ある」豊かさを感じたり、時代を行き来した体験だった。


そして時代が変わっても豊かさをつくるのは、そこに住まう、暮らす、生きる人だと思った。


現代を生きる私たちの選択肢はあまりに多く、ひと言では語れない人生の先で出逢う。



今日の出逢いが何かのはじまりかもしれないし、
今日の出逢いが最初で最後かもしれない。




出逢ったことが全て。


数年前まで別ればかりが人生かと思っていたけれど、最近はそんなことをよく思う。


それぞれ違うストーリーをもった人同士が、束の間同じ時間を過ごせること。
これ以上幸せなことはないと思ったひと時だった。





後半は、個人的に感じたことなどを綴ってみようと思います。


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