
「中間はないんだ」フィンランド人上司からのお気に入りの言葉
#心に残る上司の言葉 の投稿企画が気になったのでやってみる。
特に大変だったフィンランド転職 & 移住直後の半年間に上司に言われたいくつかの言葉を、それぞれ簡単に状況を添えて記しておきたい。ちなみに上司は40代後半くらいの長身のフィンランド人男性です。
「中間はないんだ、中間は」
移住直後は、慣れない環境のストレス下で常にピリピリしていて、私生活の小さなトラブルに過敏に反応してしまうことが多かった。たとえば買ったばかりの子供の手袋が盗まれた!とか、タクシーの運転手が領収書くれなくて経費精算できない!とか。
そんなことを1:1の冒頭で私はいつも愚痴っていた。そんな時、上司はじっと聞いてからおもむろに片手の人差し指と親指でVの字を作り、「こっちの指が完全解決でこっちの指は完全に諦めるとしよう。(指を近づけながら)その中間はないんだ、中間は」と言ってニヒルに笑うのだった。
つまりは、とことん戦うかスパッと諦めろ、ということ。そこでカーッときていた私の頭はスッと冷やされて、こんなバカみたいなこと、諦めればいいか、となるのだった。それくらい当時はいつもテンパっていた。
「支払いこそが僕の人生さ」
同じように初年度訳のわからない日々の請求書の数々(光熱費とかクレジットカードの手数料とか…)に対して愚痴っている私に。そりゃそうだ。
「君の雇用はワンショットじゃない、長期的な投資なんだ」
これも入社直後。「自分は即戦力が期待される助っ人外国人なんだ、早く結果を出さなきゃいけないんだ…」とカラ回りする私を見かねて言ってくれた一言。フィンランドの会社は最初の半年が試用期間で、その間、契約上はいつでも解雇にできる。ちょうど4ヶ月目くらいに入ってプレッシャーがかかっている時に言ってくれてかなり気が楽になった。
「君個人の成功に意味はない」
これは比較的最近。「妻が仕事探しを本格化させるので、自分が保育園の送りなどのペースを増やすことになると思う。仕事に少し遅れる日が増えるけどいいか?」と相談したときにこう言われた。
「君個人の成功に意味はない、家族が幸せになるのが本当の成功でしょ?まったく気にしなくていい」
常にプライベートの状況も含めてケアしてくれる上司ではあるが、ここまで言い切ってくれると逆に「この御恩は仕事で返しますよ!」という気持ちになる。
こう見ると、良い上司は何人だろうと部下思いだし、それをしっかり口にする。何ならそれが管理職のすべてかもしれない。自分もいつかそういうマネージャーになれたら、と思う。
最後に、フィンランド人上司に毎朝のように言われる一番のお気に入りの言葉を書いて締めたい。
「All good?(順調?)」
*写真は上司と私の共通の大好物、薄焼きのパンケーキ。