忍殺TRPGリプレイ【ムーン・イン・ザ・ミッドデイ・スカイ】02
前回のあらすじ:総理大臣ラオモト・カンが失脚し、ソウカイヤ・オムラ連合はアマクダリ・セクトの一斉攻撃にさらされた!各地の支部が調略されて寝返る中、ソウカイヤ仮本部にも論理・物理両面での大規模攻撃が迫る!圧倒的な人手不足の中、電脳部門は必死に応戦!カラダニキヲツケテネ!
◆
010101010101……ナウクラテーは瞬時に自我を電子ネットワークに没入させ、IRCコトダマ空間を視認し、防衛すべきメインフレームの構造を完全に把握する。ここは彼女のフーリンカザンだ。流星雨めいてメインフレームへと降り注ぐのは、ネオサイタマ全土から降り注ぐ無数のハッキング攻撃!
ラオモト・カン失脚のニュースを受けて反ソウカイヤ連合が一斉攻撃をかけ、野良ハッカーも獲物を求めて動き出したのだ!『『『イイイヤァアアアーーーッ!』』』ダイダロスは無数のブンシンBOTを展開し、流星雨めいた大量のサイバー攻撃を迎え撃つ!そしてナウクラテーは!『……ン?』
彼女は電子視力を凝らし、ダイダロスの電子防壁を超えて接近するアカウントにwho isする。0101罪罰罪罰0101……名は『ビブリオマニア』。左右に浮かぶのは『ブックハンター教団員』と記された微弱な存在。
噂に聞いたことはある。小規模ハッカーカルト『ブックハンター』を率いるハッカーニンジャだ。オナタカミに唆されたか、それとも火事場泥棒か。どちらでもいい、ここで排除せねば!一触即発アトモスフィア!
戦闘開始
1ターン目
『kill'em-all!』ZZTZZTZZTZZT!ナウクラテーの強烈なハッキング攻撃が侵入者たちを襲う!『『アバババーッ!?』』KBABAMN!ハッカー・カルティストたちが薙ぎ払われて爆発、01分解!『イヤーッ!』だがビブリオマニアは見切って躱し、カウンターハックを繰り出す!『イヤーッ!』回避!
『ドーモ、ビブリオマニア=サン。ナウクラテーです』ナウクラテーは論理アンブッシュを終えると、先手をとってアイサツを繰り出した。ニンジャはアイサツをされれば返さねばならない。古事記にも書かれている。『ハハハハハ!ドーモ、ビブリオマニアです!君がここを守る門番というわけか!』
ビブリオマニアは哄笑しながらアイサツを返す。『素晴らしい!そのきめ細やかに定義された論理肉体から、君の並みならぬワザマエが見て取れる!君のようなハッカーと手合わせし、知識を奪い合うことができるとは、これ以上ない幸せ、否、黄金立方体に導かれし者の運命!そうは思わぬかね!』
ZZZTZZTZZTZT!彼は猛烈なタイピング速度でコトダマを繰り出し、周囲の論理空間の定義を書き換えつつ、稲妻めいたハッキング攻撃を放つ!アブナイ!『イヤーッ!』ナウクラテーは連続バック転回避!『話が長いよ!』『ンンッ、済まないね!少々興奮し過ぎてしまったようだ!ハハハハ!』
ビブリオマニアは躁病めいて嘲笑い、懐から謎めいたフロッピーを取り出して掌で弄ぶ。あれは!『さてお嬢ちゃん、この電子ウイルスを知っているかな?実に綺麗なコードだ……芸術品と言ってもいい』フロッピーは彼の掌でトランプのカードめいて何枚にも増え、不吉なカラテを漲らせる!
2ターン目
『『イイイヤァアアアーーーッ!』』ZZTZTZTZZTZT!ナウクラテーとビブリオマニアの致命的なハッキング攻撃が稲妻めいて飛び交う!互いに強敵!『……グワーッ!』ついにビブリオマニアが一発食らう!ここはナウクラテーのフーリンカザンだ!だが……ファイアウォールを一個持っていかれた!
『『イイイヤァアアアーーーッ!』』ZZTZTZTZZTZT!ナウクラテーとビブリオマニアの致命的なハッキング攻撃が流星めいて飛び交う!互いに強敵!互いに譲らずだ!手数はナウクラテーの方が多いが、電子ウイルスと電脳戦用デッキで底上げしたビブリオマニアも負けず劣らず!01の竜巻が激突!
『ハァーハハハハ!』ビブリオマニアはアドレナリンを過剰分泌して紙一重回避!『TAKE THIS!』BOOMBOOM!フロッピーをスリケンめいて投擲、01の網で視界を埋め尽くす!『ンアアーッ!』ナウクラテーが網に捕まる!01分解して消滅!否……多重ログインのデコイだ!瞬時に敵の背後に出現!
『TAKE THIS!』ZZZTZZTZZT!『グワ……アバーッ!』カウンターハックが命中!ナウクラテーも消費が大きいが、地力とフーリンカザンで勝るか!『ハハハハ……面白いぞ、ナウクラテー=サン!次は何を見せてくれるのかな!』手持ちの電子ウイルスを失えど、ビブリオマニアは余裕を崩さず!
3ターン目
長引けばまずい!ナウクラテーは全身全霊全カラテを込めてニューロンをブーストさせ、超高速タイピングによる猛烈なハッキング攻撃を繰り出す!『『イイイヤァアアアーーーッ!』』BOOMBOOMBOOM!BOOMBOOM!両者のタイピング速度、もはや計測不能!互いに光と化して交錯!交錯!
『素晴らしい……この全能感!ここまでついてきてくれるとは!』ビブリオマニアは電子涎を垂らして歓喜!『私はこれでも下っ端よ。上司にかかればアンタなんか……』『謙遜はよしたまえ。君には十二分の警戒が必要だね』ビブリオマニアは目を細め、周囲の電子空間の定義をさらに書き換える!
4ターン目
『『イイイヤァアアアーーーッ!』』BOOMBOOMBOOM!BOOMBOOM!IRCコトダマ空間を二筋の光が飛び交い、蛍光緑色の01を撒き散らしながら激突!激突!激突!降り注ぐサイバー攻撃流星雨!遥か上、黒い雲の彼方には満月のごとく輝く黄金立方体!なんたるゼンめいたマッポーの光景か!
『グワッ……アバッ!』先に限界を迎えたのは……ビブリオマニアだ!電子空間に距離は関係ないが、強力な高速回線や電脳設備に支えられて迎え撃つナウクラテーの方が当然有利!『警戒しても無駄なようね!イイイヤァアアアーーーッ!』『うおおーッ!』ビブリオマニアは必死で躱す!躱す!躱す!
SMASH!『え』ビブリオマニアの論理肉体が、思わぬ方向から貫かれた。もうひとりのナウクラテーが背後に出現し、電子カラテを繰り出したのだ!『これ……は……!』ナムサン!ブンシンBOTデーモンだ!『上司ほどじゃあないけど、私もそれなりのタツジンなの』『アバッ……ここまでか……!』
ビブリオマニアは満足げに笑った。『こんなハッキング速度……こんな終わり……僕のデータにないぞ……素晴らしい!』彼の論理肉体が01分解し、砕け散る!『サヨナラ!』KABOOOOM!爆発四散!
戦闘終了
エピローグ
『シューッ……!』ナウクラテーの論理肉体は呼吸を調え、ザンシンする。降り注ぐサイバー攻撃の雨は、ダイダロスが構築した巨大なドーム型電子防壁に遮られ、メインフレームまで届くことはない。それでもしばしば、防壁を突き抜けて内側に届こうとする手強い連中がいる。まだまだこれからだ。
消費は大きいが休んでいる暇はない。仲間がいれば。インパーミアブル、ファイアシーフ、デモゴルゴン、パラノーマル、クグツシェン、オグナンジェ。電脳部門の全員に連絡は行っているはずだが、まだ防衛に駆けつけてはくれない。まさかソウカイヤを裏切ったのか、それどころではないのか。
ズゥン……ズゥン……遠く物理世界では轟音が鳴り響いている。オムラ側の砲撃か、敵の攻撃か、その両方か。UNIXメインフレームが落ちれば物理的な防衛にも支障をきたす。ここを守りきらなければ……その時!KABOOOM!防壁の一部が爆発!穿たれた大穴から濁流めいてサイバー攻撃が流れ込む!
01010110101101『ドーモ、お久しぶり』2人の前に現れた侵入者は、金髪のコーカソイド女性の姿をした論理肉体を備えていた。彼女は背中にフェアリーめいた羽根を輝かせ、アイサツを繰り出す。『YCNANです』
【ムーン・イン・ザ・ミッドデイ・スカイ】終わり