忍殺TRPGリプレイ【チケット・トゥ・ライド】02
前回のあらすじ:タケダチック・アガキ社のサラリマンを暗殺し、その背後のオムラ・ソウカイヤ連合を敵に回した傭兵ニンジャ3人組。しかしニチョームでくすぶってるような連中じゃない。カネ次第で何でもやってのける命知らずが、今度はタケダ社の工廠を襲撃する!カラダニキヲツケテネ!
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「要は、銃座や戦闘兵器を乗っ取って暴れ回ればいいわけです」コバヤシノがメガネを光らせた。シンプルだ。「クローンヤクザ兵チームは薙ぎ払えるでしょうし、乗っ取れない戦闘兵器でも破壊可能です。そして、追加情報ですが」コバヤシノは「ゴクヒ」と書かれた書類をテーブルに置いた。
「タケダ社は、新型拠点防衛兵器『TSA008シンゲン』をこの工廠で開発しています。親会社であるオムラ・インダストリの『モータードクロ』をコピーしたものですが、タケダ社側は独自開発と言い張っています。デモンストレーションも兼ねて、工廠からはこの新型戦闘兵器が出撃するでしょう」
「そいつはハッキングで乗っ取りできるか?」「いえ、できません。無人機であり、独自のOSで動いています。遠隔や直結のハッキングは効果があると思いますが……可能なら、これも破壊して下さい。不可能なようなら撤退して下さい。全員無事の生還が一番です」「捕虜になるな、ってことね」
マッドガンナーのつぶやきに、コバヤシノは無言で頷く。依頼人や背後関係を詮索されてはならない。とはいえ、今のネオサイタマでオムラ系列の暗黒メガコーポへの襲撃を目論むような勢力となると……オナタカミだろう。ことが露見すればキョート共和国の手先としてマスメディアで糾弾される。
「『俺達はキョートのテロリストだ』とでも喧伝してやろうかね」デッドリーチェイサーは肩を揺すって邪悪に嘲笑う。コバヤシノは冷たい視線を向けた。彼は信頼ならぬ凶悪犯罪者だ。場合によっては彼が仲間や依頼主を売って敵に寝返る可能性もある。そうしたリスクも考慮せねばなるまい。
「なるべく正体不明ということでお願いしますね」コバヤシノは貼り付けたようなアルカイック・スマイルに戻り、質問を受け付け、情報をやりとりする。情報の漏洩、作戦の失敗は許されない。彼女の背後には巨大な組織がいる。ソウカイヤでもザイバツでもない闇の秘密結社「アマクダリ」が。
作戦開始
ネオサイタマ某所、タケダチック・アガキ社工廠。軍事基地めいた物々しいアトモスフィア。夜空を切り裂く漢字サーチライトの光、ひっきりなしに行き交うジープ、一糸乱れぬ警戒態勢を取るクローンヤクザたち。彼らが襲撃を把握していようといまいと、やることは変わらない。カチコミだ!
マップ
0ターン目
3人は手はず通り工廠の近くに向かう。高いフェンスで囲まれ、南側には銃座に守られた正門があり、いくつかの建物と、複数の戦闘兵器らしき黒い大きな影が見える。敷地内は多数のクローンヤクザが3人1組で巡回警備しており、正面から行けば蜂の巣だ。だが、ニンジャなら問題なく潜入できる!
『非常に明るいボンボリの真ん前はかえって見にくい』……平安時代の哲人剣士ミヤモト・マサシの言葉だ。3人のニンジャはそのコトワザの通り、強い光で暗闇を切り裂く漢字サーチライトの真下を駆け抜け、敷地の西側から潜入する。ニンジャ野伏力により、警備兵たちは彼らの気配に気づかない。
3人は無言で持ち場に向かう。デッドリーチェイサーとストリークは戦闘ヘリを、マッドガンナーはその奥の戦車を奪うのだ。覆い布を音もなく潜り抜け、首尾よく機内に忍び込んだニンジャたちは、コバヤシノから提供されたフロッピーディスクを操作UNIXに挿入し、あるいはハッキングする。
01010101010101……『『『ピボッ』』』起動音が鳴り響き、覆い布が外れた!ブオン、ブオン、ブオン、ブオン……2機の戦闘ヘリのプロペラが回転し始め、ドルルルルル……戦車のエンジンが唸りを上げる!「「「スッゾコラー!?」」」周囲のクローンヤクザ警備兵が訝しんだ!明らかに異常!
バラバラバラバラバラ……!2機の戦闘ヘリが浮上!戦車が砲塔をぐるぐると回転させ、警備兵たちに照準を向ける!『『これは・戦闘兵器の・ヌキウチ運転テスト・です。ご安心・下さい』』「「「ワッザ!?」」」フロッピーに仕込まれていた欺瞞電子音声が鳴り響き、警備兵たちは混乱する!
「それじゃあ行こうか、野郎ども!」「コンサートの時間だ!」「ケヒャァーッ!ネギトロにしてやるぜーッ!」3人は邪悪に嘲笑い、銃口や砲塔をまごつく警備兵たちに向けた!一触即発アトモスフィア!
戦闘開始
各データ
◆クローンヤクザ・チーム(種別:モータル/バイオ生物/クローンヤクザ)×12
カラテ 2 体力 3
ニューロン 1 精神力 1
ワザマエ 3 脚力 2
ジツ - 万札 1
攻撃/射撃/機先/電脳 2/ 3/ 1/ 1
◇装備や特記事項
●チャカガン・サンダンウチ:銃器、連射1、ダメージ1、回避H
●脆弱性:爆発/範囲攻撃(体力1)
能力値合計:6
◆タケダ社サイバネ化パイロット(種別:モータル)×4
カラテ 3 体力 3
ニューロン 2 精神力 1
ワザマエ 4 脚力 4
ジツ - 万札 2
攻撃/射撃/機先/電脳 3/ 6/ 3/ 4
◇装備や特記事項
▶生体LAN端子LV1
▶サイバネアイLV1
▶▶ヒキャクLV2
◆ショットガン:銃器、連射1、ダメージ2
能力値合計:9
◆戦車『TTG25キバタイ』(種別:戦闘兵器、大型2×2)
カラテ 3 体力 12/-1
ニューロン 2 精神力 -
ワザマエ 4 脚力 5
ジツ - 万札 -
攻撃/射撃/機先/電脳 3/ 6/ 3/ 4
◇装備や特記事項
●大型2×2:轢殺3、即死耐性
●装甲:ダメージ軽減1
●主砲:連射1、射撃・回避H、ダメージ2D3、貫通2、2ターン連続使用不可
●機銃:連射3、ダメージ1、バースト3×3
●突撃:近接攻撃H、ダメージ2
能力値合計:9
◆戦闘ヘリ『TTA108ヒコウ』(種別:戦闘兵器、大型2×2)
カラテ 3 体力 6
ニューロン 2 精神力 -
ワザマエ 4 脚力 8(飛行)
ジツ - 万札 -
攻撃/射撃/機先/電脳 3/ 6/ 3/ 4
◇装備や特記事項
●大型2×2:即死耐性
●飛行移動&空中制動
●機銃:連射6、ダメージ1、バースト3×3
収束射撃:射撃H、連射3、ダメージ1、貫通1
銃弾の雨:射撃・回避H、射線上の3×3マス以内の全員に1ダメージ
●ミサイル:射撃、連射1、爆発(カトンLV2)
能力値合計:9
1ターン目
バラバラバラバラ……!2機の戦闘ヘリは空高く舞い上がり、下界を見下ろす。この距離なら警備兵たちのチャカガンは届かない。警戒すべきは他の戦闘兵器、それに銃座だ。敷地内の北・東・南西には、恐るべきマルチプル・ロケットランチャーが据え付けられている。まずはあれを破壊すべし!
「「ホノオ!」」2人は同時にミサイル発射ボタンを押し、空対地ミサイル『ヘルホノオ』を発射!シュゴン!シュゴン!ヒュルルル……KABOOOM!命中!ナムアミダブツ!周辺はたちまち燃え盛るジゴクの炎の海と化した!だがマルチプル・ロケットランチャーは装甲に守られ、なおも屹立する!
キュラキュラキュラキュラ……!マッドガンナーの操る戦車『キバタイ』が前進!「アバーッ!」ミサイル攻撃から生き延びた警備兵1名を轢殺し、さらにマルチプル・ロケットランチャーめがけて主砲発射!KABOOOOM!ついに爆発四散!工廠前は瞬時にマッポーのジゴクと化した!
「「クセモノダー!」」北西の建物からタケダ社のサイバネ化パイロットが2名飛び出す!だが彼らが乗るべき戦闘兵器は奪われている!ならば撃破あるのみ!「「武田信玄!」」2名のパイロットは迷わず対戦車ショットガン『ヒナワ』を構え、戦車めがけて発砲!BLAMBLAM!だが装甲に弾かれる!
「「クセモノダー!」」東と南東の建物からもタケダ社のサイバネ化パイロットが飛び出し、近くの戦闘ヘリに乗り込む!「「「スッゾコラー!」」」警備兵たちは銃座に駆け寄り、協力してマルチプル・ロケットランチャーを操作する!「「「撃墜スッゾコラー!」」」ZOOOM!……KABOOOOOM!
「うおおおッ!?」デッドリーチェイサーは死を覚悟するが、とっさに戦闘ヘリを急上昇させてロケット弾を回避!しかしこの高度で撃墜されれば、いかにニンジャであっても危険だ!「「「スッゾ!」」」「「スッゾ!」」他の警備兵たちも一糸乱れぬ動きで近くの銃座を目指して走る!さらに!
バラバラバラバラバラ……!東側では戦闘ヘリ2機が浮上し、迎撃体勢に入った!実際危険!だがこちらは戦闘ヘリ2機、戦車1台、そしてニンジャ3人だ!戦力は充分!やるしかない!
戦闘継続
【続く】
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