忍殺TRPGリプレイ【グレート・メイド・レヴォリューション】
ドーモ、あけましておめでとうございます。三宅つのです。これは海中劣=サンのシナリオ案「ニンジャの配達」および原作小説「ピザ・カリフォルニア」を元にしたリプレイ小説です。ネタバレにご注意ください。
様々な妨害を乗り越え、ピザの宅配を行うミッションです。サンシタニンジャが挑むことが想定されていますが、今回は新年なので彼女にします。
◆コトブキ(種別:戦闘兵器/ウキヨ)
カラテ 4 体力 6
ニューロン 4 精神力 4
ワザマエ 3>5 脚力 3
ジツ - 万札 10>4
攻撃/射撃/機先/電脳 4/ 5/ 5/ 6
回避/精密/側転/発動 5/ 5/ -/ -
即応ダイス:5 緊急回避ダイス:0
◇装備や特記事項
▶生体LAN端子LV1:ニューロン判定+2、イニシアチブ+1
◉重サイバネ化:体力+2、脆弱性:電磁(1)
○生い立ち:ウキヨ
◉知識:オイランドロイド、旧世紀ビデオ、カンフー、調理 など
◇カルマ:善
能力値合計:11>13
非ニンジャですが、少し強くなりました。では、始めます。
◆◆◆
序
ネオサイタマ、キタノ・ストリート。その北東隅、キタノ・スクエアビル1階に、個人経営のピザ店「ピザタキ」がある。経営者はハーフガイジンの青年ハッカー「タキ」。看板娘として自我のあるオイランドロイド「コトブキ」を雇っているが、実際のところ彼の本業は裏社会の情報屋である。
しばらく前、斜向かいに出店した大手チェーン店「ピザスキ」とピザ勝負を繰り広げ、しばらくの間は大賑わいだったが、今は再び閑散としている。ネオサイタマ市民は次々と飛び込む情報に流され、熱狂するのも飽きるのもあっという間なのだ。それでもコトブキのおかげで固定客はやや増えた。
BBBBB……店のカウンターで電話が鳴る。だがタキはエッチ・ピンナップを見ながらタイピング中で、電話に出ようともしない。慌ててメイド衣装のコトブキが駆けつけた。「モシモシ!ドーモ、ピザタキです!」『ドーモ。ピザの配達をお願いします』謎めいた電子音声が受話器の彼方から響いた。
コトブキは笑顔でペコペコとオジギし、注文をメモする。「ハイ!ハイヨロコンデー!」通話終了。「配達のご注文です!」「おう。頼むわ」タキは軽く手を振った。コトブキは、注文された種類の冷凍ピザを店の電子レンジで温めると、丁寧に配達用の紙箱に入れた。「えーと、それから……」
ピザのトッピングはチーズ、ベーコン、トマト。サイドメニューはフライドチキンにフライドポテト、炭酸飲料。安物の冷凍食品や市販品だが、案外捨てたものではない。コトブキはサイドメニューを温め、炭酸飲料を冷蔵庫から取り出し、ピザとともにバイクのデリバリーボックスに積み込む。
「では、行ってきます!」「おう」コトブキはメイド服の上から耐重金属酸性雨ライダースーツを纏い、ヘルメットを着用し、デリバリーバイクにまたがって、指定された座標へ向け出発した。
???
「フンフンフン……」コトブキは鼻歌を歌いながらバイクを走らせる。宅配ルートは脳内UNIXにインプット済みだ。最短距離は……次の交差点を右折!体を右に傾け、やや減速して右折を『ザッケンナコラー!』ナムサン!電飾ウキヨエトレーラーがヤクザクラクションを鳴らして直進してきた!
信号機は右折優先!道路交通法違反はトレーラーの方だ!「ハイヤーッ!」コトブキは巧みにバイクを操縦し、轢殺を回避!KRAAASH!直進電飾ウキヨエトレーラーは横から来た別のトレーラーと衝突!ナムアミダブツ!『ワメッコラー!』『アッコラー!』運転手同士が争い始めた。コワイ!
「アブナイでした」コトブキは眉根を寄せ、ため息をつく。この程度の交通違反や交通事故は、治安が悪いネオサイタマではチャメシ・インシデント。デリバリーバイクやヒキャクはそれを織り込み済みで活動する、危険の多い職務なのだ。諍いを仲裁している暇はない。急がねば!「ハイヤーッ!」
???
コトブキは毛細血管めいた複雑なジャンクションを潜り抜け、ハイウェイへ入る。……ふと、隣の車線を走る乗用車から視線を感じた。そちらを見ると、後部座席にいる子供がこちらを見てはしゃいでいる。保護者にピザをねだっているのだろうか。コトブキが微笑ましい気分になった、その時!
ヒュルルルルル……!彼女の聴力は不吉な風切り音を捉えた。上だ!あれは……「ミサイル!?」ナムサン!どこかのヤクザ抗争の流れ弾か、ロケットランチャーから発射された対戦車小型ロケット弾が落下してくる!そしてこの軌道は……「私が避ければ、あの車に当たってしまいますね……!」
コトブキは瞬時に状況判断し、思い切った方法に出た!「義を見てしないのは腰抜け、です!ハイヤーッ!」ゴウランガ!彼女はデリバリーバイクの座席から一瞬立ち上がり、決断的なカンフー・カラテキックを放って、目前に迫ったロケット弾を空中高く蹴り上げたのだ!……KABOOOOOM!
ロケット弾は空中で爆発し、コトブキも乗用車の家族も死を免れた。カラテだ!「スゴーイ!」子供は無邪気に瞳を輝かせ、手を叩いてコトブキを称えた。「あのね、パパ、ママ!隣のバイクのお姉ちゃんが、ミサイルを蹴っ飛ばしたよ!」「そりゃすごいな。ニンジャじゃないか?ハハハハハ!」
両親は笑って取り合わない。コトブキは瞬時にバイクの座席に戻ると、隣の乗用車に力強くサムアップし、バイクを加速させた。このような危険は、ネオサイタマではチャメシ・インシデントだ。
???
ハイウェイを降りたコトブキは、閑静な高級住宅街へたどり着く。冷凍ピザの宅配を頼むような人物がいるとも思えないが、指定された座標は確かにここだ。コトブキは大きな洋館の正門前でデリバリーバイクを降り、ブザーを鳴らした。BBBBB……『ドーモ、オマタセシマシタ。ピザタキです!』
『ドーモ。正門の脇に通用口があるから、そこから入ってね』女性の声だ。「ハイヨロコンデー!」通話終了。コトブキは深々とオジギし、デリバリーボックスを背負って、通用口から洋館に足を踏み入れた。「こっち、こっち!」二階の窓から女性が顔を出し、コトブキを手招きする。「ハイ!」
……洋館の主は、ソウカイヤに所属するパラノーマルという女ニンジャだった。「ピザタキってとこに、自我のあるオイランドロイドがいるって聞いて、興味あってさァ。なかなかカワイイじゃない!」「アッハイ」洋館の各所には、銃器を構えた護衛用オイランドロイドが多数配備されている。
「ピザは確かに受け取ったわ。代金ははずんであげる」キャバァーン!ピザタキの口座に万札20ものカネが振り込まれた。「こ、こんなに」「端金よ」「アッハイ」「イタダキマス」パラノーマルはソファに寝そべり、ピザやフライドチキン、フライドポテトを貪り、炭酸飲料を飲み始めた。
「ナリキンだからさ、高級食材は口に合わなくって。やっぱり安物の方がいいわ」「アッハイ」「LAN直結していい?」「自我があるのでダメです」……それからしばらく、コトブキはパラノーマルの質問に答えたり、他愛無い会話をしたりして時を過ごした。「ええと、そろそろ帰りませんと」
「アッソ。じゃあ、またね。オタッシャデ」「オタッシャデ!」コトブキはペコペコとオジギし、洋館を後にした。色々なインシデントはあったが、彼女は無事に宅配業務を果たしたのだ!「……さて、店に帰るまでがデリバリーですね」コトブキはヘルメットのベルトを締め直した。
【グレート・メイド・レヴォリューション】終わり
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