忍殺TRPGリプレイ【チェイス・ユー!】03
前回のあらすじ:ネオサイタマ、ヤガネ・ストリート。実際治安の悪いこの場所では、フリーランスのニンジャチームによる非道なサイバーツジギリが行われていた。隣接するノビドメ・シェードではサラリマン2人が暗殺され、通行人も次々と射殺されていく。ブッダは今宵も寝ているのだろうか?
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マッドガンナーは無慈悲に通行人を射殺していく。ヤガネ・ストリートではストリークとデッドリーチェイサーが無慈悲にモータルたちを殺戮していく。おお、ナムアミダブツ……これも古事記に予言されたマッポーの一側面なのか!しかし、その時!「「イヤーッ!」」何者が屋上にエントリー!
ナムサン、ニンジャだ!それも2人!「ドーモ。俺はタケダチック・アガキ社のエージェント、バズキルです」彼は短いダガーナイフを抜いた。歯科医めいたモーター音が鳴る。刃が高速震動しているのだ。「曲者め!」
「ドーモ、エレクトリックイールです」彼の右手首から先は金属ロープになっており、鉤と思えた先端部はサイバネアームであった。「ヤナマンチ社の走狗か? 弊社のサラリマンを2人も暗殺するとは大胆不敵!」
「チッ……ドーモ、マッドガンナーです」彼女はニンジャの掟に従い、アイサツを返す。ウカツにも狙撃地点にとどまりすぎ、殺し過ぎたのだ。サラリマンの死体はサイバネアイで遠距離から撮影し、コバヤシノに送信してはいるが……彼らの追跡から逃げ延びねばならない!一触即発アトモスフィア!
戦闘開始
マップ
7ターン目
「イヤーッ!」マッドガンナーは状況判断し、屋上からヤガネ・ストリート側へ飛び降りる!ニンジャならウケミをとることでダメージを受けずに着地可能!「逃がすか!イヤーッ!」「イヤーッ!」企業ニンジャたちは後を追って飛び降りつつ、電磁ワイヤーウィップとスリケンで攻撃!アブナイ!
「ハハーッ!」SMASH!KABOOOM!「アバーッ!」ヤガネ・ストリートの裏路地では、デッドリーチェイサーがアワレなDJを撲殺!なんたるゴア!「いつつ……手首が限界だ。撤退するぜ」「ああ」ストリークはこのビズでほとんど稼げていない。ハズレくじを引いたのだ。だがダメージもない。
治安が実際悪いこの裏路地には、マッポも巡回に来ることはない。しかしノビドメ・シェードはカチグミ用の屋形船などがある華やかな場所で、騒ぎを起こせば通報される。リスクとリターンを考慮すれば、デッドリーチェイサーは比較的マシなくじを引いたと言えよう。『オツカレサマデシタ』
コバヤシノにセスタスガンで殺された者たちの写真を送信すると、すぐに返信が来た。『マッドガンナー=サンが騒ぎに巻き込まれているようですので、支援してあげて下さい』「ああ」「俺はやめとくぜ。セスタスガンの反動でボロボロだ!スシもねえしよ!」デッドリーチェイサーは毒づいた。
8ターン目
「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」マッドガンナーは必死で逃げ、エレクトリックイールとバズキルは全力で追跡!まるで色付きの風だ!「クタバレーッ!」エレクトリックイールのテクノカラテがマッドガンナーに迫る!どくん……彼女はアドレナリンを過剰分泌し、ブリッジ回避!
「イヤーッ!」さらに迎撃のキック!「イヤーッ!」防御!2対1、このままではジリー・プアー(訳注:徐々に不利)だ!ストリークとデッドリーチェイサーは裏路地からそれを視認する。「やってるな。援護射撃でもしてやるか」「やめとけ。こっちにターゲットが向いても困る」「それもそうだが」
9ターン目
ストリークは状況判断する。手出しをすればこちらも危険だが、敵は2人だ。追手の数を減らせば……「kill-9 U!」ZZTZZT!追手の一人へ物陰から遠隔ハッキング!「ヌウッ!?」ポートを閉じ回避!「バカ!」デッドリーチェイサーはストリークの背後から牽制のスリケン!「グワーッ!?」命中!
「オタッシャデー!」エレクトリックイールが怯んだ隙に、マッドガンナーは全力で逃走!振り向きざまにスナイパースリケンを射出!「うおッ!?」紙一重でのけぞり回避!「く、クソッ!新手か!」エレクトリックイールは一瞬躊躇した。狙撃手を追うか、新手へ対処するか。当然……狙撃手だ!
「イイイヤァアアアーーーッ!」エレクトリックイールはマッドガンナーを追い、恐るべきテクノカラテを繰り出す!「い、イヤーッ!」必死で回避!「逃がすかーッ!」バズキルは後を追って側転するが……路地裏に仕掛けられていたワイヤーロープに引っかかりバランスを崩す!ウカツ!「何!?」
10ターン目
マッドガンナーとエレクトリックイールはカラテラッシュを繰り広げながら遠ざかっていく。「く、クソッ!」バズキルはワイヤーロープを外そうともがく!チャンスだ!「「イヤーッ!」」「グワーッ!」ナムサン!裏路地からスリケンが降り注ぐ!「ま、待て!ドーモ、俺はバズキルです!」
バズキルはスリケンの飛んで来た方向へアイサツした。ニンジャがアイサツをされれば返さねばならぬ。声と気配から、少なくともニンジャが2人。駆け出しの自分だけでは厳しい相手だ。せめて敵のニンジャネームだけでも報告せねば!「……ドーモ、エスケーです」「ディーシーです」欺瞞!
「いいか、俺はタケダチック・アガキ社のエージェントだ。弊社はオムラの系列会社であり、オムラはソウカイ・シンジケートと提携している」バズキルは交渉を持ちかけた。「貴様らの仲間は弊社のサラリマンを暗殺した。よって殺すか、捕獲して情報を吐かせねばならん。邪魔をすれば貴様らも」
「うるせえぞサンシタ!キンタマついてるならかかってこいや!」デッドリーチェイサーが挑発した!彼は弱者には強い!「俺らは雇われだが、どうせオムラの敵の差し金だ!ここでテメエをブッ殺して口封じして、ついでに有り金をもらってやるぜ!」「何を……貴様ーッ!」バズキルは激怒した!
「イヤーッ!」バズキルは路地裏から飛び出し、スリケンを投擲!だがストリークは難なく見切って躱す!「交渉決裂だな。始末してくれる!」
11ターン目
「「イヤーッ!」」スリケンが飛来!「い、イヤーッ!」バズキルは側転回避し、そのままエレクトリックイールたちを追って去っていった。「チッ、逃したか。こっちもずらかるぜ」「ああ」マッドガンナーはどうなるのか。彼女の背負い込んだトラブルは、結局は彼女が対処するしかあるまい。
戦闘終了
???
数時間後。夜明け前。マッドガンナーはコインランドリーにいた。バズキルの方は仲間が足止めしてくれたが、エレクトリックイールは強敵だった。しかし、彼が電磁ワイヤーウィップを武器としていたことが幸いした。ノビドメ・シェードの運河、水中に飛び込み、どうにか追跡を逃れたのだ。
あの後コバヤシノと連絡をとり、試作武器を返還し、報酬を受け取った。それなりだったが、色々とツイてない。色々と。彼女はランドリー内のベンチに腰掛け、陰鬱に、テレビモニタに映るトゥーンを眺めていた。ドブ水に浸かった汚れはシャワーを借りて洗い流したが、衣服はそうもいかない。
これからどうするか。カネはあるし、どうにかなるだろう。暗黒メガコーポを敵に回したとなると、顔やニンジャネームも変えねばならないかもだ。あるいは中立非戦地帯のニチョームへ逃げ込むか。ストリークとデッドリーチェイサーは……ガララッ。「ドーモ」ドアが開き、客が入ってきた。否!
「初めまして、マッドガンナー=サン。俺はソウカイ・シンジケートのニンジャ、ナッツクラッカーです」
◆ナッツクラッカー(種別:ニンジャ)
カラテ 5 体力 6
ニューロン 4 精神力 4
ワザマエ 3 脚力 3/N
ジツ 0 万札 10
攻撃/射撃/機先/電脳 6/ 4/ 4/ 4
回避/精密/側転/発動 5/ 6/ 3/ -
即応ダイス:5 緊急回避ダイス:0
◇装備や所持品
▶戦闘用サイバネ顎:近接攻撃、ダメージ2
◇ジツやスキル
◉ニンジャソウルの闇:体力・攻撃・射撃・発動+1
◉ランスキック
能力値合計:12
「……ドーモ」マッドガンナーは青ざめながらアイサツを返す。「驚いているか? タケダチック・アガキ社のサラリマン2人を殺した下手人だな。同行願おうか。そして協力者……依頼人を吐け」「嫌だと言えば?」「命乞いさせてやる。その後、貴様の身体に訊問し、愉しませてもらう」「断る」
マッドガンナーは吐き捨てた。「では、そうさせてもらうぞ」狭い室内にカラテが満ちる!一触即発アトモスフィア!
戦闘開始
【続く】
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