見出し画像

ケモ夫人TRPGリプレイ【ドリーム・オブ・バタフライ】

邦題:胡蝶の夢(Dream Of Butterfly)

 ドーモ、三宅つのです。これはうらやま=サンによる『ケモ夫人TRPG』と、そのサンプルシナリオを元にしたリプレイ小説です。ネタバレにご注意ください。ニンジャスレイヤーTRPGとは無関係です。

 ケモ夫人とは何か?それはこれらをご覧下さい。

◇概要◇

 プレイヤーは新たにキャラクターを作成し、ケモ夫人とともに巨人に立ち向かうことになります。通常はゲームマスターとプレイヤーによってゲームが進行されるのですが、例によってつのが一人でやります。タイムリミット制もあるようですが、今回は気にしません。

◇判定◇

画像1

 判定が必要な(成功するか失敗するかわからない)行動に関しては、10面ダイス1個(1D10)を振って、その出目で判定します。つのが物理的に所持しているダイスは六面ダイスだけですが、幸い電子の神Googleに働きかけることで10面ダイスを召喚できます。Googleの検索欄に1D10(ないし1d10)と入力して検索すれば、あなたも10面ダイスを1個振ることができます。複数振りたければ2D10、3D10などとすればOKです。

 恐るべきことに、10面ダイスの0が判定で出てしまった場合、あなたのキャラクターはなんらかの大失敗を犯し、なすすべもなく死んでしまいます。出目1なら大成功、出目2-5なら成功ですが、出目6-9だと失敗し、武器が壊れたり怪我を負ったりしてしまいます。なかなかハードですね。従ってキャラクターは頻繁に死にます。嫌ならルールを適当に改変してください。

1:大成功。好きな表を2つ振って再獲得できる。
2:成功。怪我が1つ治る。好きな表を振って再獲得できる。
3:成功。怪我が1つ治る。好きな表を振って再獲得できる。
4:成功。怪我が1つ治る。好きな表を振って再獲得できる。
5:成功。好きな表を振って再獲得できる。
6:失敗。武器が壊れる。武器の再獲得。
7:失敗。怪我を1つする。武器の再獲得。
8:失敗。怪我を1つする。武器が壊れる。武器の再獲得。
9:失敗。怪我を1つする。武器が壊れる。武器の再獲得。
0:大失敗。なすすべもなく死ぬ。あなたを再獲得する。
※怪我をすると、以降の判定では出目が+1となる。(最低0)
※武器の再獲得(『武器表』と『武器特徴表』を振り直すこと)が5回目の場合、
 依頼の遂行は不可能となる。つまり、次回の判定の出目は強制的に「0」だ。

◇キャラクター作成◇

 では、キャラクターを作ってみましょう。あなたは何者でしょうか。1回目は下の表から1D10でランダム、2回目以後は選んでかまいません。

1:一般住民
2:ちょうちょ/ハムスター
3:サングラスの男
4:戦士
5:博士
6:異形
7:管理人
8:執事
9:巨人/巨人の指
0:夫
1D10[5]=博士。

 あなたは博士です。次に、特徴をダイスで決めましょう。

1:ケモ
2:白い
3:英語で話す/口調が特徴的な
4:巨大な/小柄な
5:天才
6:突然の
7:優しい
8:被害者の
9:身体の一部が欠損している
0:スマホの中の
1D10[8]=被害者。

 あなたは博士で、被害者です。巨人や異形に仲間や家族を殺されたり、家屋や財産を破壊されたりしたのかも知れません。次に、あなたとケモ夫人の関係性を決めましょう。これは二つ表があります。

1:友達
2:恋人
3:夫婦
4:家族
5:命の恩人
6-0:愛人
1:普通の
2:表向きは
3:一方的な
4:ロマンチックな
5:秘密の/禁断の
6:食事を提供してくれる
7:お話しをきちんと聞いてくれる
8:素晴らしい才能をもった
9:戦場で出会った
0:世界の命運を背負った
2D10[12]=友達、表向きは

 表向きは友達のようです。裏はどうなのでしょうか。名前や性別、外見などは、特に決める必要はありません。出目次第でちょくちょく死にますし、そのたびに別の存在としてリポップするようです。同じ存在としてリポップしても構いませんが。しかし呼び名がないのも不便なので、被害者を英訳したヴィクティム博士としましょう。男性か女性かすら不明です。

◇サンプルシナリオ◇

 では、やっていきます。このシナリオは原作を踏襲したものです。

 まず、キャラクター作成の時の出目の数字を記録しておいて下さい。あなたは「5:博士」「8:被害者」であり、「1:友達」「2:表向きは」ですから、合計の数字は13+3=16です。このシナリオのクリア条件は、この数字を合計30以上にすることです。出目0が出たら10とカウントして下さい。

第一話

画像2

 優雅な昼下がり。ケモ夫人と、その友人であるヴィクティム博士は、夫人の住むケモハウスでティータイムを楽しんでいた。ケモ夫人は、その名の通りケモノめいた頭部を持つ獣人であり、そのバストは豊満であった。性格は大変おっとりしている。ヴィクティム博士は悲しみを忘れようとしていた。

 ぐにゃり。家の壁の一角が突然歪み、抽象的な人間めいた姿の存在が出現した。それは帽子をかぶっており、博士に武器らしきものを差し出した。

1:斧
2:ナイフ
3:スマホ
4:拳銃
5:剣
6:槍
7:弓矢
8:薙刀/鎌
9:棍棒/杖
0:針
1:普通の
2:小さめの
3:巨人の
4:黒い
5:可愛い
6:大きめの
7:使いやすい
8:伸びる
9:進化する
0:上級神器(神話でも有名な異形殺し)の
2D10[36]=スマホ、大きめの 合計9、現有合計点16+9=25

 それは、大きめのスマホのように見えた。帽子をかぶった人影は、博士にスッとそれを手渡す。「えっ……えっ……?」思わず受け取った博士は、ケモ夫人とともに困惑している。「あの……これは、なんですか……」人影は、感情を感じさせない声でこう告げた。『これで巨人を討伐して下さい』

「!?」博士は驚愕した。巨人を。討伐?このスマホで?無理では?帽子をかぶった人影はそれ以上何も告げず、かき消すようにいなくなった。

第二話

「あの……」ケモ夫人が問いかける。「巨人?そんなものがいるの……?」

1-5:《ちょうちょの時間》
6:噂で聞いたことはある
7:知っている
8:詳しく知っている
9:実際に見たことがある
0:巨人退治の専門家である
1D10[2]=ちょうちょの時間。巨人については何も知らない。これは原作のケモ夫人が見ている夢であり、あなたは夢の中の存在である。現有合計点25+2=27。そういえば「ケモ夫人」と命名されるのはこれより後ですね。確かに「表向きは友人」という設定にも合致します。

「異形は知っているけど、巨人。異形の一種かな?」博士は首をかしげた。

 ヴィクティム博士は、異形の被害者だ。街に突然湧き出したよくわからない生き物たちによって家を追われ、逃げに逃げてここにやってきた。異形を討伐するような戦闘力もない。ただ、浮世離れした友人の家でお茶を飲み、現実逃避していただけなのに。あの存在は、そんな自分を……?

01100110011011

 いや。博士は理解した。ここはケモ夫人の夢の中であり、自分は彼女が夢の中で生み出した、架空の存在に過ぎないと。彼女が目を覚ませば、自分は消えてしまうのだと。ならば、自分ができることは?巨人と戦うことではない。ケモ夫人をより長く夢の中に浸らせ、存在時間を伸ばすことでもない。

 傷つきやすい精神を持つ彼女を守り、暖かく慰めてやることだ。彼女の精神力が回復すれば、現実世界で巨人と戦うことが、立ち向かうことができるだろう。自分は彼女に生み出された、もうひとりの彼女なのだから。

11001101101011

第三話

画像3

「あはは! あはは! い~え~い!」夢の中。花畑で楽しそうに遊ぶ、子どもの姿のケモ夫人。これは、ケモ夫人が過ごした子ども時代の思い出か。あるいは、実在しない過去の記憶か。「ヴィクティム博士」は執事とともに彼女をにこやかに見守っている。彼女はちょうちょを追いかけ、捕まえた。

 それは……。

1:白いちょうちょ
2:黄色いちょうちょ
3:赤いちょうちょ
4:青いちょうちょ
5:黒いちょうちょ
6:小さいちょうちょ
7:大きいちょうちょ
8:異形ちょうちょ
9:巨大なちょうちょ
0:宇宙的ちょうちょ
1D10[10]=宇宙的ちょうちょ。現有合計点27+10=37

画像4

 01100110011……青空を覆うほどの巨大なちょうちょが、幼いケモ夫人の上に舞い降りてきた。翅は夜の深淵のように黒く、星のように多数の眼球が瞬いている。あれは、なんだ。これは現実ではない。彼女の心の中に舞い降りた、恐怖の象徴か。その頭部は髑髏のようで、空洞の眼窩の奥に011011

 ヴィクティム博士は直感した。あれは、巨人の一部だ。心の中に侵入して精神を破壊する、破滅的な力なのだ。あれさえも端末のひとつに過ぎない。そして、「巨人の指」に傷をつけられるのは、「依頼人」から受け取った武器だけだ。ヴィクティム博士は、大きめのスマホを手にとった。これだ。

1D10[3]=成功。現有合計点37+3=40。

 ヴィクティム博士はスマホを頭上に掲げると、光の矢と化して飛翔し、宇宙的なちょうちょの急所へ、空洞の眼窩へ、自らの存在ごと突き刺した!「うおおおおおーーーッ!!」011001110011……

エピローグ

 ヴーッ、ヴーッ、ヴーッ……!テーブルの上で大きめのスマホが振動し、居眠りしていたケモ夫人は目を覚ます。慌てて着信ボタンを押すと、愛する夫からだ。「もしもし?あなた?」『うん、僕だよ。キミ、さっき電話かけたかい?』「そうなのよ!巨人!巨人ですって!大変よ!」……

 ヴィクティム博士は消滅した。博士はその存在をかけて、巨人の指のひとつを討伐したのだ。しかし、それもまた夢であるかも知れない。

【ドリーム・オブ・バタフライ】終わり

◇🎲◇

 いつもの癖でニンジャめいてしまいましたが、つののバースはこうだというだけです。あなたは自由にケモ夫人できます。

◆胡◆

◆蝶◆

【以上です】

いいなと思ったら応援しよう!

三宅つの
つのにサポートすると、あなたには非常な幸福が舞い込みます。数種類のリアクションコメントも表示されます。