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2024年5月の記事一覧

【つの版】日本刀備忘録16:大湊出港

 ドーモ、三宅つのです。前回の続きです。  鎌倉幕府滅亡後、後醍醐天皇による建武の新政は2年で崩壊し、足利尊氏は持明院統の天皇を擁立して南北朝時代が到来しました。治承・寿永の乱は6年で終わり、奥州合戦は2ヶ月、承久の乱は1ヶ月で終わりましたが、南北朝の戦乱は60年近くも続くことになります。経緯を見ていきましょう。 ◆great◆ ◆escape◆ 大湊出港 復習しましょう。南朝の延元3年/北朝の建武5年(1338年)、南朝を代表する名将であった北畠顕家と新田義貞が相次

【つの版】度量衡比較・貨幣141

 ドーモ、三宅つのです。度量衡比較の続きです。  江戸幕府将軍・徳川吉宗は矢継ぎ早に幕政改革を行いました。財政に関しては組織の再編と緊縮政策により支出を削減し、幕府に諸大名から米を上納させ(上米の制)、新田開発の事業民営化や徴税法の改革などを行って財源を確保し増収をはかります。しかし新田開発で米の増産が進むと米価が下落し、給与を米で受け取る武家の実収入は目減りしていきました。 ◆米◆ ◆米◆ 石高制度 振り返ってみましょう。江戸時代の日本には、幕府が発行する通貨として

【つの版】日本刀備忘録15:大太刀伝

 ドーモ、三宅つのです。前回の続きです。  鎌倉幕府滅亡後、後醍醐天皇による建武の新政は2年で崩壊し、足利尊氏は持明院統の天皇を擁立して南北朝時代が到来しました。戦乱により刀剣・武具の需要は増大し、各地に新しい刀工の流派が現れます。またこの時代には、戦い方や武具にも大きな変化が生じました。 ◆刀剣◆ ◆乱舞◆ 武具変遷 古来戦場の主役である騎馬武者は、長弓を馬上から射る「弓馬の道(騎射術)」に習熟した弓騎兵で、太刀を振るっての近接戦闘も行ったものの、主力武器はあくまで

【つの版】度量衡比較・貨幣140

 ドーモ、三宅つのです。度量衡比較の続きです。  正徳6年/享保元年(1716年)に第7代将軍・徳川家継が8歳で薨去し、紀州徳川家の藩主・吉宗が徳川宗家の養子となって将軍位を継承します。幼い家継を傀儡として権勢を振るっていた間部詮房・新井白石らは失脚し、吉宗は彼らの政策を一部受け継ぎつつ、幕政改革を推し進めて行きます。 ◆農◆ ◆耕◆ 緊縮政策 政治の根幹は財政です。当時の幕府財政は、400万石に及ぶ幕府直轄領からの年貢、鉱山や山林からの収入によって成り立っていました

【つの版】日本刀備忘録14:相伝流行

 ドーモ、三宅つのです。前回の続きです。  鎌倉幕府滅亡後、後醍醐天皇による建武の新政は2年で崩壊し、足利尊氏は持明院統の天皇を擁立して南北朝時代が到来しました。戦乱により刀剣・武具の需要は増大し、各地に新しい刀工の流派が現れます。前回は東国を見てきましたから、今回は畿内・西国です。 ◆刀剣◆ ◆乱舞◆ 山城信国

【つの版】度量衡比較・貨幣139

 ドーモ、三宅つのです。度量衡比較の続きです。  正徳6年/享保元年(1716年)に第7代将軍・徳川家継が8歳で薨去し、紀州徳川家の藩主・吉宗が徳川宗家の養子となって将軍位を継承します。幼い家継を傀儡として権勢を振るっていた間部詮房・新井白石らは失脚し、吉宗は彼らの政策を一部受け継ぎつつ、幕政改革を推し進めて行きます。 ◆松◆ ◆健◆ 徳川吉宗 徳川吉宗は、家康の10男で紀州徳川家の祖である頼宣の孫にあたり、貞享元年(1684年)10月に生まれました。父の光貞は既に5

【つの版】日本刀備忘録13:美濃開伝

 ドーモ、三宅つのです。前回の続きです。  鎌倉幕府滅亡後、後醍醐天皇による建武の新政は2年で崩壊し、足利尊氏は持明院統の天皇を擁立して南北朝時代が到来しました。戦乱により刀剣・武具の需要は増大し、各地に新しい刀工の流派が現れます。まずは東国から見ていきましょう。 ◆京極◆ ◆正宗◆ 高木貞宗 鎌倉時代においては京都・備前・鎌倉の三箇所が刀剣作成の主要な中心地でした。京都には三条派・粟田口派に続いて来派が現れ、備前には長船派が出現し、鎌倉には備前派と粟田口派を融合させ

【つの版】度量衡比較・貨幣138

 ドーモ、三宅つのです。度量衡比較の続きです。  元禄8年(1695年)から正徳元年(1711年)にかけ、江戸幕府は財政危機に対処するため、勘定奉行・荻原重秀の主導により大規模な貨幣改鋳を行いました。しかし悪貨が市場に流通して物価が高騰し、資産価値が下落する等社会不安を招き、新井白石の弾劾により重秀は失脚します。白石は幼い将軍徳川家継を奉じて幕政の実権を握り、国政改革を行いました。 ◆白◆ ◆蛇◆ 新井白石 新井白石は幼名を伝蔵、仮名を与五郎・勘解由、諱を君美といい、