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Fais de ta vie un rêve, et d’un rêve, une réalité.

 あの日見つけたポラリスに手を伸ばして、あっという間に4年半が経っていた。目の前が真っ暗になって、右も左も分からなくなって、まるで私の周りだけ酸素が無くなったみたいに、いつの間にか宇宙空間に放り出されて、星屑のように揺蕩うばかりで呼吸の仕方さえ忘れてしまいそうだったとき、ぼんやりと現れた光明に縋ってみよう、と決めた2020年のあの日。
 『あの頃の彼に似ている』ただそれだけの邪な考えで君を無視できなくなって、君を、君だけをまなざした日々は、すごく楽しくて、キラキラして、充実していた。心からそう思う。

 これは私のエゴだけれど、向き不向きで言ったら、きっと君は誰よりもアイドルに向いているのに。
 結局私は私自身が可愛くて、君の未来、君の可能性、君の決意、そんな君にとって何よりも大切なものを全て踏みにじってもなお私の一番好きなアイドルとして存在していてほしい。私がつらいとき、落ち込んだとき、君の存在そのものが私を勇気づけるものであってほしい。いつまでも"そこ"でチャハチャハ笑っていてほしい。君のこれからを、いちファンとしてずっと追いかけていたい。
こんなことしか願えない物分かりの悪いファンで本当にごめんなさい。この期に及んで背中を押してあげられなくて本当にごめんなさい。

4年半前、君を好きになったばかりのころの私はこう綴っていた。

これから先、たくさんのキラメキを手にしていくであろうきみの掌から、もしも欠片がこぼれてしまうことがあるなら。そっと掬いあげて、大切に宝石箱にしまっておきたいと、そんなことを真剣に考えていたりする。ある種の呪縛めいたことをこれから言うから、どうか聞き流して欲しい。髙橋優斗くん、アイドルになることを選んでくれてありがとう。どうかお目にかかるそのときまで健やかに、きみの思う通りに突き進んでくださいね。

 そう、君の人生なのだから、君が思うがままに突き進めばいい。そんなことははじめから分かってるのに、心から応援してあげられなくて、こんなうじうじした文章を書いていること、繰り返しになるが本当に申し訳なく思っている。

2021年8月3日。初めてTDCホールで君にお目にかかることが出来た日。開口一番に「俺様の美技に酔いな!」と言い放たれて、膝から崩れ落ちそうになったことを覚えている。一生叶わないと思った。

2021年11月20日。5人の初めてのアリーナ公演。ローラースケートが通り過ぎたあとは、眩く鮮明な残像とともに焦げ臭い匂いが充満することを初めて知った。

2022年1月14日。帝国劇場A列34番、目の前にいる君があまりに眩しくて直視出来なかった私に対して、ちょっと面白そうな顔でわざわざしゃがみこんでまで目を合わせようとする0番にある種の恐怖を感じたのを鮮明に覚えている。

2022年8月7日。この日は流行病で君がいない公演だった。ステージ上には確かにいないはずなのにものすごい存在感で、まるで5人の公演を見たような充足感を覚えて帰った日。改めてHiHi Jets、強いな、そう噛み締めた。

 2023年6月17日。セキスイハイムスーパーアリーナで、ライブ終盤に見せてくれたあの憑き物が落ちたような晴れやかな表情を、私は金輪際忘れることはできないだろうと思う。せめて、せめてあの時に戻れたら、もしかしたら彼を引き止められるなにかがあるのかもしれないのに。ブラッシュアップライフじゃないけれど、誰かタイムリープする能力を身につけて、万障取り除いてなんとかして未来を変えてくれないか…そんなことばかりずっと考えている。

2023年9月14日。「みんなのアイドルゆうぴ!」のフレーズとともにスクリーンに映し出された君が視界に入った瞬間、脊髄反射で悲鳴と涙が溢れたのを覚えている。様々な感情がないまぜになって不安に押しつぶされそうだったあの日、あの前髪を分けて眉毛をちらっと見せる表情の可愛さで全てが相殺され、「アイドル力」をまざまざと見せつけられた感覚を覚えた。とにかく強い。そう思った。

あの主人公感は優斗にしか出せない。みんな主人公になりたくてこの事務所に入ってるから、自分よりすごい人が現れてもなかなか認められないけど、僕は優斗を見て「あいつが真ん中だ」ってすぐ思いましたもん。

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 昨今のアイドルとしては、未熟なところもあったのかもしれない。それでも、持ち前の根性と努力、そして類まれなる華と愛嬌で、バカ正直にその場所に立ち続けている君が本当に大好きでした。あんなにデリカシーがない等身大の男の子なのに、誰もが認める正統派アイドルで"そこ"に立った瞬間覇王の気を纏う君が誇らしかった。どんなに裏で地道な鍛錬を積み重ねていても、私たちの前ではそんな苦労なんて微塵も見せず、いつもスカして楽しそうにケラケラ笑っている君たち5人が大好きでした。もう二度と永遠なんて信じないつもりでいたのに、4年半前のあの日から間違いなく、HiHi Jetsは私にとって唯一無二で最高で最強のアイドルでした。

 髙橋優斗くん、約9年半のアイドル人生、本当にお疲れさまでした。ゆうぴにはそんなつもりは無いだろうけど、あなたは間違いなくあの時期の私の心を救った。毎日一人きりで家に閉じこもって陰鬱としていた私の日常に、一筋の光明を届けてくれた。誇張抜きで私の命の恩人です。
 いつも嘘偽りない気持ちを、私たちに教えてくれてありがとう。本当のゆうぴのことなんてなーんにも知らないのに、言葉だけは間違いなく真実だと思えた。"言霊"を信じてみたくなった。澱みなく出てくる用意された台詞なんかじゃなく、あなたの今この瞬間の思考が溢れ出すような、ゆうぴの紡ぐ言葉が本当に大好きでした。
 チャームポイントのキリッとした眉毛も、台形っぽい形の大きな瞳も、笑うとハート型になるお口も、ほっぺのホクロも、100cmあるという立派なおしりも、役に入り込みすぎて他の部分に影響が出てしまうところも、すぐに笑笑するところも、星が上手に描けないところも、バカデカボイスも、特徴的な笑い方も、時々加減が分からなくなってたくさんお叱りを受けるところも、料理がからきしダメなところも、ほっとくとベイスターズの話ばっかりするところも、いつもダルダルなTシャツを着ている(物持ちが良いともいう)ところも、偏食なところも、ライブ後半になると青髭が目立ってくるところも、ゆうぴが走り出したら最終的になんとかなると思える瞬間も、最後の最後まで滾っているところも、ここには書ききれないくらい全部全部大好きで、ずっと宝物です。

 「みんなのスーパーヒーローになります!」何度も繰り返し伝えてくれたこの言葉は、私たちファンに向けての宣誓の他に、自身に対してのある種の洗脳でもあったんだろうな、と今は思う。このままだとかけがえのないアイドルを奪ったかもしれないあれやこれやを全部恨んでしまいそうで、怖くて、つらくて、やっぱり辞めるのやめてほしくて、ずっと5人でいてほしくて、5人の姿を目に焼き付けたかったのに発表があってからずっと泣いてたことも全部全部悔しくて、どうやってこれから歩いていけばいいか分からないけれど。終わりになんてできないししたくないけれど、本音を言えばこれからのあなたをずっと見ていたいけれど、一旦区切りをつけないといけないと思うから、今私はここで改めて呪詛を吐きます。

 髙橋優斗くん、誰がなんと言おうと幸せに生きてください。私なんかに指図されなくたって分かってるだろうけど、自分の選択をどうか正解にしてください。大丈夫、優斗くんの歩いていく道は絶対にお天道様が照らしてくれるはずだから、思ったままに突き進んで行ってほしい。あなたに救われた人間がいることなんて今後一切覚えていなくてもいいから、世界中の誰よりも幸せに生きてください。たまには元気にしてるって教えてくれると嬉しいな。

 アイドルになることを選んでくれて、私に応援する理由をくれて本当にありがとう。あなたの貴重な青春の一部を、私にも分けてくれて本当にありがとう。
髙橋優斗という最高のアイドルに出会えて、ファンになれて良かった。きっと、これからも大好きです。

(2024.09.20)


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