新宿ナンバー、7310に愛を込めて
今から、2018年4月末日の私が世界で一番愛している男性を紹介します。警察庁にお勤めの降谷さん、背はまぁ高い方だけど優しい人。お父さんと一緒で車が趣味なの。だってお父さんが「車好きの人には悪い人はいない」って言ってたし…ねぇ?お父さん?
とまぁモー娘。よろしく言ってたらものすごく恥ずかしくなってきた。そう、私が今お熱なのは、かの有名な名探偵コナンの登場人物である降谷零さん(29)。初めて彼の存在をはっきりと認識したのは、2016年に公開された映画「純黒の悪夢」だ。この記事で、彼のどこが好き!とかこんな所が魅力的!とか、私がキャラクターを紹介したところで陳腐になるのは目に見えているし、下手な考察を述べるつもりもない。これはある種の担降りブログだ。
昔から割と規律の厳しい家庭で育ち、あまりアニメを見ることは許されなかった私だが、両親は何故か名探偵コナンは見てもいいと言った。え、めっちゃ物騒じゃない?と大人になった今では思うのだけど、とにかく、親が共働きで一人っ子だった私にとって、家での遊び相手といえばコナンとハリーポッターだったのだ。
気づけばお兄ちゃんのように思っていた新一や平次たちの年齢をとうに越してしまい、日常のあれこれに追われるようになった私にとってのコナンは「毎週録画こそしているものの、たまに気が向けば見る」くらいの存在になっていた。友人にもやっぱりコナンに育てられた子が何人かいて、毎年連れ立って映画を観に行っていた。そこで私は出会ってしまったのである。運命の人に。
電流が走った。よく「出会った瞬間にビビッとくる」なんて言い回しがあるが、まさにその通りだった。一瞬で好きになってしまった。現代っ子なので、その日家に着くなりGoogle先生に彼のことを教えてもらった。明くる日も明くる日も彼の登場回をHuluで見続け、こんな逸材になんで今まで気づかなかったのかと心底後悔した。と同時に、Twitter界隈の盛り上がりなどから今回の映画で彼の魅力に気づいたのはどうやら私だけではないらしい、ということが分かった。そう、2016年、私を含め多くの女性が赤井秀一と安室透(降谷零/バーボン)の女になった。例えるなら、ジャニヲタでいうところのごくせんでごく出が続出したようなものだったのだ。
あれから2度目の春が来た。1年前、特報の「ゼロ」というフレーズを聞いた時から、ずっとずっとこの時を待っていた。13日の金曜日、私はレイトショーになんとか滑り込んでその時を迎えた。席につくまで気づかなかったのだが、2日前に電車の中でドギマギしながら押さえた席は、何故か最前列のど真ん中だった。その時点ではほかの席もまだ余裕で空いていたのに。動揺しすぎである。
上映中の感情は、ジャニーズのコンサートで感じるそれと似ていた。観たいような観たくないような。始まるといつか終わってしまう。ならいっそ始まらなければいい。でも観たい。そんな感情のせめぎあいが凪ぐことはなく、約2時間が過ぎた。ずっと口元を手で覆って観ていたような覚えがある。
公開が始まって3週間が経った。"降谷零を100億の男にする"べく、私も微力ながら数回執行されに行っている。ジャニーズのコンサートはチケットを探すのも一苦労だが、映画館なら思い立ったらすぐ行ける、しかもチケットも確実に確保できる。これは大変なことだ。何も私を阻むものがない。
Truth vs Justice.
今年のサブタイトル(?)として掲げられた言葉だ。どちらも受け取り方によっては光にも影にもなる。作中の陰影の描写がひどく印象に残った。そして、今作の主人公である、降谷零。なんとなく、なんとなくだが、名前を構成する文字から彼には雨が似合うなぁ、と思っていた。監督、素晴らしい演出でした。あなたとはいい酒が飲めそうな気がします。
彼の雨はいつか上がるんだろうか。それとも、横からそっと傘を差し出してくれる誰かに出会うのだろうか。全てを拒絶してしまいそうな彼だからこそ、放っておけない気持ちになる。私には彼を幸せにしてあげられる力もないし資格もない、なんなら存在する世界がまるで違うのに、こんな想いを抱くのはどうしてなんだろう。ああ、やっぱりこの感情はアイドルに対してのそれによく似ている。
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