夏がおわり
夏がおわり、彼女は帰国した。
この蒸し暑い夏に、俺のそばにいてくれて、一つの文句もなかった。
関西空港まで送って、この空港には私たちの、数えきれない記憶が残っている。
初めて彼女を会いに行ったとき、この空港から北海道まで飛んだ。
それから何度もこの空港から出発、到着したことがある。
この空港で泊まった記憶もある。
思わずに微笑んでくる。
その一瞬のときを思い出したら、何よりも暖かい。
私たちには、数えきれない別離があった。
いろんな場所で、いろんな時間に、同じ二人の同じ辛さ。
涙は何度も動いてみたが、空き部屋、一人道、秋空など見ながら、
ぼっとした。