文字絵「へんぜうそう正」
今週は、北斎の文字絵をさらに一枚取り上げる。同じく大英博物館所蔵のもので、このリンクから全容を鑑賞することができる。
歌仙の名は、僧正遍昭。絵の上段には、かれの和歌一首。『古今和歌集』に収録されたものである。
はちすはの/にこりにそまぬ心も/てなにかは/露を玉とあさむく
(蓮葉の、濁りに染まぬ、心もて、なにかは露を、玉と欺く)
そこで、文字絵である。この一枚は、この六歌仙シリーズの中でも読みやすいほうで、「へんぜうそうじやう」という歌人の名前を、すべて仮名で表記している。今日の表記と違うのは、「昭」の読みである「ぜう」のみで、いわゆる歴史仮名遣いになっている。
文字の読みをGIF動画で眺めてください。
ちなみに、六歌仙の別の一枚、「在原業平」は、「北斎の文字絵」において取り上げた。どうぞあわせてお読みください。
追加:
「多幸と一緒に一日一句、古筆を学ぶ」さんの指摘を受けた。こちらの読み方が正しいと思う。修正し、あわせて感謝。