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回顧した青春は美しいけれど。映画『芳華 Youth』中国、2017年
久しぶりに日本で公開された馮小剛の映画『芳華』。中国での評判も上々だったので、楽しみにしていました。今回は娘ではなく、夫と一緒の鑑賞。時代的に青春部分が青春しすぎてきれいすぎるけれど、それでもよかった。
文化大革命、そして中越戦争。理不尽な時代の波を生きる若者たちの群像。
その中で不器用にしか生きられない主人公たち。ひどい目にあうのは、いつも下層の持たざる者。時代の波に乗れるのは、生まれのいい人たち。
でも、弱い者たちだって強く生きていく。その姿が美しい。
本当は、現実の社会はそれほど美しいわけじゃない。でも、馮小剛監督は、弱い者たちも豊かな人たちと同じくらい、美しく魅せる。安易なハッピーエンドじゃなく、現実は厳しいけど、そんな社会にも損なえないほどの強さ、尊厳を添えて。
ラストも残酷なほど差のつく現代で終わらせるのではなく、文芸工作団で皆同じ一員に見えた時代の若さと輝きでまとめる。きれいだけど、つらい。つらいけど、きれいで目が話せない。傷つけられた同時代の無数の人たちへの敬意を添えて。
追記:中国演劇研究の瀬戸宏先生のツイートがお勉強になります。
レンタルDVDで映画『芳華』をみる。かなりよく出来た映画、中国でヒットは頷ける。だが明らかに過去を美化した映画。一例だが、困窮の小萍が写真館で大型カラー写真を撮るのは不可能。着色写真でも無理。文革時の写真は非常に高価で一般庶民はみな小型の白黒写真。主題歌が『小花』の「絨花」はなぜ?
— 瀬戸宏 (@Ir8hSt) February 14, 2020
もう少し書くと、軍隊の文工団だから演目の中心は文革末期は批林批孔など文革路線、文革終結後は一転して四人組批判と華国鋒礼賛。演目のそんな場当たり主義や80年代以降のテレビ普及で演目が民衆から見放された。これが文工団解散の基本背景。『芳華』はやむを得ないとはいえこの情況を完全にスルー。
— 瀬戸宏 (@Ir8hSt) February 14, 2020
邦題:芳華 Youth (原題:芳華)
監督:馮小剛(フォン・シャオガン)
原作:厳歌苓
製作 中国(2017年)135分
出演者:黄軒、苗苗、鐘楚曦ほか