戦場に行った男たちに代わってフィールドに立った女性たち。映画『プリティ・リーグ』1992年、アメリカ。
私の大好きな映画ベスト5の1つ。
第二次世界大戦中、出征した男子の代わりに女子野球リーグをつくったアメリカの実話が元になっているお話です。
劇場でみることがなかったのは、あまりにもな邦題のせいだと思うけど、野球映画がこんなに素敵だなんて、予想もできなかったせいもある。夫に勧められて、ビデオで見て大好きになって、TV放送でも何度も見ている。見るたびに笑って、泣いてしまう。
とりわけ仕事で辛いときに、思い出すのがのこの場面。トム・ハンクス演じる監督と、ジーナデーヴィス演じるリーグのスター選手の会話。
「野球は君の一部だろ。その喜びを知っているはずだ」
「でも、辛すぎる」
「当たり前だ。楽なら誰でもやってる。辛いからこそ、やりがいがあるんだ」
この映画を見ると、いつだって新しい発見があって、いつだって同じ部分で感動したり、涙が出たりして、そして、いつだって元気になれるんです。
バラバラだったチームの女性たち。立場も違うし育った環境も能力も違う。それでも彼女たちがお互い助け合って友情を深めて、最初は「女は抱くもの」と暴言を吐いていたトム・ハンクスを本気にさせていく過程はすばらしい。野球を知っていても知らなくても楽しめるし、何度見ても新しい発見がある。私は、とうとうDVDまで買ってしまいました。
背景としてのアメリカ社会の女性差別(蔑視)が、かなりしっかりユーモア交じりで、暗くならずに扱えているのもすごい。白人と黒人の問題の取り上げ方も、一瞬だけどちょっとある。こういうのってはたから見ると優等生的で、ちょっとあざといと思えるようなシーンでもあるけれど、でもやはり、ああいう自分の属する国の社会の恥であるような問題も、ちゃんと織り込むあたりはうらやましいと思う。
そして、この映画を見ると、野球って本当にアメリカの文化なんだなと実感できる。先駆者、功労者に対する尊敬を態度で示すことができるというのも、すばらしいと思う。アメリカ社会の全てがそうではないとしても、「そうあるべき」モデルを示そうとする態度はいつだって大事だと思うから。
余談だけれど、なぜ挿入歌の詞のIrishが字幕では「スウェーデン人」になっているのか不思議。ものすごい初歩的なミスにしても一般常識的にむちゃくちゃな気がしないでもない。
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