サッカーと青春と恋する映画。『ベッカムに恋して』イギリス、2002年
日本で公開されたのは2003年。サッカー人気もベッカム人気もまだ健在だった頃なので、軽いノリのコメディかと思って映画館に行ったら、結構まじめな青春映画で、ちょっと驚きました。夫が最近、格安でDVDを買ってきたので、2度めの鑑賞。記憶とは全然違っていたので、2度びっくり。
舞台はイギリスのロンドン郊外。インド系シク教徒の家庭の次女ジェスはサッカーが大好きで、ベッカムを愛する18歳。いつものように公園で幼なじみとサッカーをしている所を、同じくサッカー好きのジュールズに誘われて、女子サッカークラブに参加する。そして、アメリカにプロの女子サッカーチームがあることを知り、プロを夢見るようになる。
当然ながら、インドの伝統的なジェスの両親は娘のサッカーに大反対。ジュールズの家も母親がサッカーにいい顔しない。彼女たちは協力しながら、ジェスの両親の目をごまかしてサッカーを練習したり、コーチをめぐってケンカをしたり。異文化摩擦と交流のコメディをベースに、外国人差別や女性差別なんかのエピソードも出てきます。
とくにジェスの父は、インドではクリケットの名手だったのに、ロンドンではインド人だからと差別されて排除された苦い経験があります。そして、ロンドンに住むシク教徒たちのソサエティや親戚づきあいは、なんかもう見るからに面倒くさそう。結婚までの手続きやイベントがてんこ盛りです。
結婚は親が選んだ人とするのが基本。ジェスの姉は親の目を盗んで恋愛結婚にこぎつけたくらいなので、一応ジェスの味方をしてくれるけど、サッカーには全然興味がないので、そっち方面は当てにならない。サッカーでジェスを助けてくれるのは、幼なじみの男の子。ちょっと気弱だけど、いい子です。
そして、あらためて気がついたんですが、ボーイッシュでかっこいいジュールズは、キーラ・ナイトレイが演じていたんですね。サッカークラブのコーチも親との確執があったり、みんな悩みを抱えていますが、それでも若い世代が親世代のマイナスポイントを越えていこうとする映画は見ていて楽しいです。元気のないときに、おすすめです。
邦題:ベッカムに恋して(原題:Bend It Like Beckham)
監督:グリンダ・チャーダ
出演者:パーミンダ・ナーグラ、キーラ・ナイトレイ、ジョナサン・リース=マイヤーズほか
制作:イギリス(2002年)112分