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楽しすぎるドキュメンタリー映画。『おしえて!ドクター・ルース』2019年・アメリカ
見たい映画はいろいろあるけど、できれば楽しいものがいい。仕事のやりきれない出来事や、うまく行かない人間関係を忘れてしまえる楽しいものが。
この映画は私の希望にピッタリでした。
80代を終えようとする今でも現役で元気な、身長140cmのおばあちゃん。ユダヤ系ドイツ人で、スイスに疎開していたのでホロコーストを逃れることができた。でも、小学校は男の子しか通わせてもらえなかったので、彼女はボーイフレンドの教科書やノートを夜中にこっそり見せてもらって勉強した。
戦争が終わって、両親が亡くなったことを知って、イスラエルに行って結婚する。そして、戦時中にホロコーストで勉強できなかった人のための奨学金を得てフランスの大学へ。勉強をあきらめた夫と別れて、勉強を続け、再婚し、子供をもうける。アメリカに移住し、離婚。シングルマザーとしてソーシャルワーカーとして働き、2度めの大学に進学して、さらに学びました。
ノーギャラの深夜ラジオ出演をきっかけに大ブレイクして、ラジオやTVでひっぱりだこ。セックスについてあけすけに語ることがなかった1980年代に「大人2人が合意して行う行為は全て”ノーマル”」「中絶は合法」だと主張し、90年代のエイズ問題とゲイへの批判には、「ゲイなど批判対象をグルーピングは問題解決にならない。必要なのは教育と治療薬」だとにっこり笑って言い切る小柄なおばあちゃん。その破壊力たるや。
私は別に夫婦生活に悩んではいないけれど、こんなおばあちゃんがそばにいてくれたら、どれだけ心強いか。いつもニコニコ。ユーモアを忘れず、政治的な言葉は直接用いないけれど、具体的な提言は忘れない。
娘がテスト前で一緒に行けなかったけど、できるなら見せたいな。
邦題:おしえて!ドクタールース(Ask Dr. Ruth)
監督: ライアン・ホワイト
製作: アメリカ(2019年)