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北欧生活の不思議なドキュメンタリー映画『365日のシンプルライフ』フィンランド、2013年


ペトリは、以前、彼女にふられたときに爆買して、家に物があふれている状態。フィンランド語のタイトル「tavarataivas」は、この状態を表現したもののよう。そして、ペトリが26才で振られたとき、今度は心機一転、アパートにあるものを実家においてきたり、全部貸倉庫にあずけて、北欧の寒い冬から裸から生活を再スタート。映画はそこから始まります。

彼は、1年間何も買わないこと。そして、1日1個、好きなものを倉庫から持ち出せることをマイルールにします。食事は弟くんに頼んで、電気製品の修理をたのめる友達もいるし、あと仕事で必要なものは別枠で、パソコンやスマホを使える設定。

母親にあきれられたり、協力してくれる友達がいたりしないといけない断捨離ぶりだけど、おもしろかったのが裸で倉庫に取りに行って、最初に取り出したのがコート。毛布にもなるし、暖房にもなる。ちなみに、仕事には上着やズボンは履いていくけど、かなり長い間下着はつけていなかったらしいw

空き時間に何気なく選んだ映画で、私はフィンランドの町並みとか景色が好きなので、それだけでおもしろかったけど、映画というより記録モノなのだし、なにより総理整頓ができない夫は、隣りで寝てました(笑)。ストーリーが特にあるわけでもない、不思議なドキュメンタリーです。

印象に残ったのは主役よりも、彼のおばあさん。とってもチャーミングで、彼がなにか困ったことがあると相談にのってくれる。長い人生を淡々とこなしてきたような、小さいけど貫禄(?)のあるおばあちゃんのセリフがいちいちキュート。あんなおばあちゃんになりたいです。

結局、ペトリの断捨離生活は、生活がシンプルになって、新しい彼女ができて、ちょっとづつモノが増えていく状況で終わります。最初は「いらない」って行ってたキャンプ道具とか釣り道具が、彼女の登場のおかげで活用されてきたり。壊れた冷蔵庫を修理するかどうかで悩んだり。結局、生活にはモノが必要なわけじゃなくて、一緒に暮らす人、人生を共にするパートナーが必要というお話。

単純な断捨離とか、生活を可能な限りシンプルにしようとするミニマリストの実践ドキュメンタリー映画ではないので、人によっては不満が残るかもしれません。それは多分、邦題が原題とかなり違うからだと思います。とりあえず、あの北欧の景色や何気ない生活風景、素敵なおばあちゃんを見れただけで私は満足です。



邦題:365日のシンプルライフ(原題:Tavarataivas,英題:My Stuff)
監督・主演: ペトリ・ルーッカイネン
制作:フィンランド(2013年)80分

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