インフルエンザワクチンの予防接種効果
インフルエンザ予防接種は、忘れていない年以外、毎年受けてきた経験がある。ほぼ毎年受けているものの、予防接種の効果をこれまで調査してこなかった。なんとなく効くだろう、程度にとらえて行ってきた経験があり、これは学者の端くれとして考え物である。せめて論文の調査ぐらいは、行った方が良いだろう。ただ、がっつり論文を読むのも面倒だ。
そのようなことから、簡単にAbstractを読んで、有効性があるかどうかを検証している論文を探すのが、今回の記事の目的である。
論文調査
とりあえずの検索ワードは以下になる。
effect of the vaccination of influenza
冠詞や前置詞やら、いらないものもたくさんあるが、その点は無視していただけると幸いである。
上記のキーワードで検索上位に来たのが以下の論文である。
もちろんGoogle Scholarで調べてもよかったのだが、とりあえずGoogle searchで検索を行った。
発見論文
彼ら(彼女ら)の論文には以下のような記載がAbstractに存在する。
Here, we report influenza vaccine effectiveness (VE) and estimate the number of vaccine-prevented influenza-associated illnesses, medical visits, hospitalizations, and deaths for the 2017–2018 influenza season.
ざっと訳すと、VE(Vaccine effectiveness:ワクチンの効果)を 2017~2018年において検証したという論文である。
医療系の論文のインパクトファクターは高い値になっている場合が多く、8~9のインパクトファクターがどの程度の雑誌の信頼性になっているかはわかりかねるが、いったんこの論文を信用してAbstを読んでみよう。(ちなみに、物理学で最高峰と呼ばれるPhysical review letterの2018年インパクトファクターは9.227である。このため、インパクトファクターのみで、雑誌の信頼性を評価する行為は極めて危険であるため、注意していただきたい。)
話が脱線したが、結論から言うと私はこの論文の結論が知りたい。とすればAbstの中でもConclusionの領域を読むべきだろう。
Conclusionの最後には以下の記述がある。
ワクチン接種の意義
Our results demonstrate the benefit of current influenza vaccination and the need for improved vaccines.
一定の効果を認め、その改良も必要とのことである。
つまり効果があることが分かる。どのような効果なのであろうか。
インフルエンザワクチン接種の効果
同じくConclusionに次のような記述がある。
Despite 38% VE, influenza vaccination reduced a substantial burden of influenza-associated illness, medical visits, hospitalizations, and deaths in the United States during the 2017–2018 season.
この中でも注目すべきは上述太字領域、つまり重篤な症状を低減させるということである。
もちろん、論文内にもいくつかの問題点が存在するかもしれない。今回はそれらは触れておらず、あくまでも概要を読む限り、インフルエンザワクチンの接種は重篤な症状を低減させるのに重要であるということが分かった。
気になる方は是非詳細を読んでいただきたい。