アイデアの選定方法
前回では、アイデア発想やその方法について投稿してきましたが、今回は次のプロトタイプのフェーズへ映るためのアイデアの選定についてです。
アイデアの選定は前段のアイデア出しに比べて軽視されがちですが、とても難しく重要なフェーズです。もちろん傑出したアイデアがあった場合は選びやすいのですが、そうでないことがほとんどです。
選定のポイント
選定のポイントは以下の4つです。
①「学び」のための選択
アイデア発想の段階では、アイデアを選定すると言っても、最終決定ではありません。次のプロトタイプ→テストの繰り返しで最終ソリューションへと近づけていきます。ですので、プロトタイプでユーザーの反応を見て得られる「学び」のためのアイデア選定であることを忘れてはいけません。
②広く選ぶ
1つだけを選ぶなど、選択肢を狭めるのはまだ早いです。グループで生み出した幅広いソリューションを維持することを目指し、多様なアイデアを選択します。
③安全な選択に気をつける
安全で無難な選択に落ち着くと、尖が失われます。グループで選ぶと皆が否定的な意見の少ない無難なアイデアが選ばれてしまいがちです。可能性があるかもしれない、グループの中で1人でも推しているようなアイデアは大切にするべきです。もちろん無難なアイデアが悪いわけではないので、そちらも選択肢には含めて良いと思います。非現実的なアイデアも現段階では推奨されます。その方が、プロトタイプで有意義な洞察を引き起こす可能性があります。
④モチベーションの上がるアイデアを
デザイン思考は人間中心ですので、もちろんユーザーが抱えている課題に最適なアイデアを選択するべきです。ただ、
「確かにこれはユーザーにとっては良さそうだけど、あまりやる気が出ないなぁ」
となることも多くあります。もし自分がそのアイデアを実行する場合は、自分のモチベーションが非常に重要です。
短い時間の中で良さそうな無難なアイデアを選んだものの、あんまりテンションが上がらないせいでその後の検討で止まってしまった、、みたいな失敗は僕自身何度も経験しました。
アイデアの選定方法
上記ポイントを抑えた上で、アイデアの選定方法についてです。
■投票による方法
言葉通りですが、シールやポストイットなどで、何個と決めて各人が投票することで選択します。上記ポイントでも説明したように、多数決で最も多いアイデアを1つ選ぶということはせず、投票されたものの中から、再度議論して複数を選択することを推奨します。
■カテゴライズ
多く出たアイデアの中から選ぶとなるとあまりに選択肢が広くなりすぎるので、まず似たようなアイデアをカテゴライズすることもあります。KJ法が有名です。
■選択基準を設ける(Four Categories Method)
いきなり選ぶと言ってもどのような基準で考えれば良いか、グループ間でずれることが多くあります。
初期段階としておすすめなのが、Four Categories Methodです。
・The rational choice:論理的選択
・The most likely to delight:最も喜ぶ可能性が高い
・The darling自分のお気に入り
・The long shot:大穴
この4つのカテゴリごとに、一人一人が1〜2個のアイデアを選びます。その後、カテゴリごとにグループでアイデアを選定します。
■選択基準を設ける2 (Pugh Concept Selection)
もう少しロジカルに決定する場合は、Pugh Concept Selectionという方法が有効です。例えば、ニーズの切実さ、優位性、斬新性などの選定基準を設けて、アイデアごとに評価して、良いものを選びます。ただ、このときに各選定基準の平均点で評価をしてはダメで、ある1つの選定基準だけは突出しているものは残すべきです。
以上、アイデアの選定について解説しました。方法自体は参考で、前半の4つのポイントを意識していただけると、良いアイデアの選定ができると思います。
■前回の投稿
・外出禁止/自粛をデザイン思考で解決しよう
・デザイン思考のプロセス
・デザイン思考の1st Step:共感
・デザイン思考の観察の事例
・デザイン思考のマインドセット
・デザイン思考の3rd step:アイデア発想
・アイデア発想の方法