
ワークショップを設計する方法
色々デザイン思考について学んだり、ワークショップを体験したりすると、ワークショップを開催してみたいと思うこともあると思います。
そこで、ワークショップをどのように設計するかについて、お話したいと思います。
私は、これまで特にデザイン思考のワークショップを自ら設計、ファシリテーションを15回程度行ってきました。その経験から、特に意識するべきポイントについて、お話ししたいと思います。
前提:目的、成果物を明確にする
まず、前提として目的とワークショップの成果物を明確にすることです。
目的は、ワークショップによって、
・とにかくデザイン思考とはどういうものなのかを知りたい
・アイデア創出のモチベーションアップにつなげたい
・ワークショップをきっかけに、コミュニティを形成したい
・本気で新規事業や新プロダクトに繋がるようなアイデアを創出したい
などなど、様々あると思います。
また、それらの目的に応じて、ワークショップの成果物も異なってきます。
・ユーザーのインサイトまで
・ソリューションアイデア
・簡単な道具を使ったプロトタイプ
・事業提案の資料
などです。また、アイデアの質や具体性も、目的によって変わります。とにかくアイデアを出した感が出れば良いのか、本当に活用できるアイデアが良いのか。
このように、目的と成果物を明確にすることからスタートです。
全体構成、プロセスの設定
目的と成果物が決まれば、そこに到達するまでにどのようなプロセスを踏むのか、を決める必要があります。
基本的には、各ワークの小目的と小成果物を設定していきます。
例えば、デザイン思考的なワークであれば、
1. 観察によりユーザーの心理を深掘りする → 成果物:インサイト
2. インサイトを元に問題を定義する → 成果物:問題定義
・
・
などです。
デザイン思考のワークショップであれば、大枠はいわゆるデザイン思考のプロセスを踏めば良いでしょう。そこをベースに、プロセスをここは繰り返し行うとか、今回はここまでで良いとか、決めていけると思います。
ここでの設定は、各ワークの小目的と小成果物の設定であり、具体的な方法に入る必要はありません。方法を決めるのは次のフェーズです。
ワーク設計のポイント
ここまで決まれば、それぞれに合わせてワーク内容を決めていきます。
ここは方法論やフレームワークの引き出しの数がものを言いますし、それぞれの向き不向きも知っておくと良いです。
細かい方法論の話は、色々ググって出てきたりもするので、ここではワーク設計のポイントを紹介します。
ポイントは以下の2つです。
・具体化フェーズか、抽象化フェーズか
・発散なのか、収束なのか
今のワークはどっちをやっているのかを意識して、ワークを組み立てて行くと良いです。
■具体化フェーズか、抽象化フェーズか
これは、特にデザイン思考の文脈では重要だと思いますが、事象、インサイト、アイデアなど全てに置いて抽象と具体が存在します。
例えばワークショップで何かをグルーピングして、グループにタイトルをつけるときは、抽象化の作業になります。
また、例えばアイデアをいくつか出して、その中の1つをスケッチに落とし込む際は、具体化の作業です。
また、この具体と抽象には段階が存在するため(ラダーリングと言ったりします)、どの段階の作業なのかも、場合によっては意識した方が良いです。
例えば、アイデアをスケッチに落とし込む具体化作業のあと、そのアイデアの3Dモデルを作るのは、更なる具体化の作業で、具体化のレベルが上がります。
ワークショップでは、この抽象と具体の行き来によって、アウトプットとなる成果物へつなげていきます。どの抽象レベル、具体レベルなのかをワークショップ設計の段階で明確にしておき、ファシリテーターは方向がずれないようにサポートしていかないと、期待するアウトプットにつながりにくくなります。
■発散なのか、収束なのか
もう1つの重要な概念として、発散と収束があります。この方がわかりやすいかと思いますが、ブレインストーミングなどで数を重視して考えを出していくときは発散の作業で、3つや1つなどに絞り込んでいく時が収束の作業です。
発散と収束では、脳の使い方が異なりますし、チームでの議論の仕方も異なってくるので、この発散と収束が曖昧なワークだと、結果も曖昧になりがちです。例えば、たまに、1つのワークの中に発散と収束が混ざったもの(アイデアをいくつか出した後に、1つに絞りましょう!みたいな)がありますが、あまりやらない方が良いです。分けたほうが良いです。
この2つを意識すると、ワークには以下の4つが存在することになります。
・具体×発散
・具体×収束
・抽象×発散
・抽象×収束
今のワークはどれなのかを明確にすると、期待するアウトプットへ近づくことが出来ます。是非ワークショップを設計される際は意識してみると良いと思います。
以上、ワークショップのデザインについて話しました。
具体と抽象、発散と収束の設計の仕方など、↓の次の記事をご参照ください。
■ワークショップを設計する方法2
https://note.com/xicunyou/n/ndc0c5a8d7682