シーズ起点でも活用できるデザイン思考の教え
本業で研究技術を扱っている仕事柄、よく聞かれるのが、
「技術シーズ起点でも、デザイン思考は活用できますか?」
という問いです。
結論から先にお伝えすると、
プロセスは直接使えないけれど、マインドセットは確実に使える
です。
こちらについて、お話します。
デザイン思考はニーズ起点のプロセスである
デザイン思考と言って、皆様思い浮かべるのが、d.schoolの提唱する5つのプロセス図ではないでしょうか。
プロセスについては、別の記事で紹介していますが、この図で語られているのは、ニーズ起点のプロセスです。
ユーザーに寄り添い、ユーザーの本質的な心理を見出し、それをプロトタイプを繰り返しながら解決策を考えていくのが、デザイン思考的プロセスです。
このプロセスでは、必ず初めにユーザーが存在します。
そのため、技術シーズがあり、それを起点に考える場合、直接このプロセスを活かすことはできません。
無理矢理、同じようなプロセスに乗せようとすると、多分、ニーズとシーズが合わなくなって、失敗します。
しかし、このデザイン思考的プロセスでは、シーズ起点でも確実に活かせる重要なマインドセットを2つ、教えてくれています。
1.顧客視点
2.プロトタイプ精神
です。
顧客視点を忘れてはいけない
まず、重要なのが、「顧客視点」です。
技術シーズを持っている場合、技術レベルの向上に目が向きがちです。私もエンジニアなので、その気持ちはよくわかります。技術的向上心は、楽しいです。
でも、世の中に届けようと思ったら、そこに顧客のニーズがないといけません。
以前、イノベーションの種類と成立条件という記事でも触れましたが、デザイン思考でよく語られる文脈で、イノベーションを成立させるための、3つの重要な要素があります。
Desirability:ニーズ
Feasibility:実現性
Viability:持続性
世の中に届けるためには、それを必要とするニーズ(Desirability)を見つけ、実用的な製品・サービスに落とし込み(Feasibility)、持続可能なビジネス(Viability)にする必要があります。
そのため、
この技術は、誰のどんな課題を解決できるか?
を顧客視点に立って、考える必要があります。
一度、この問いを考えてみてください。チームであれば、ブレスト的に様々な視点から考えてみるのも良いと思います。
プロトタイプ精神
顧客視点で考え、「我々の技術は〇〇の△△な課題を解決できる」と仮説できても、それって本当に正しいのか?と疑問になるはずです。
そこで重要なのが、プロトタイプ精神です。
仮説を早く、安く検証するのです。
技術者なら、こんな途中の段階でユーザーに見せられない。こんなスペックでは外に出せない。と思ってしまいがちです。
でも、そうやって1年かけて作ったものが全くユーザーに響かなかったら、何の意味もありません。
それであれば、途中の段階でも良いので、ユーザーに体験してもらい、仮説が正しいか、早期に検証できた方が良いのです。
ありものの組み合わせでも、時には段ボールレベルのプロトタイプでも良いので、実現したい体験を作り、ユーザーに体験してもらって、仮説検証を繰り返すのです。
そうしたプロトタイプ精神は、シーズ起点においても非常に有用な心構えになるでしょう。
デザイン思考のマインドセットは、シーズ起点でも使える
以上のように、
顧客視点
プロトタイプ精神
の2つの考え方はシーズ起点でも活用できます。
また、この2つの考え方こそが、デザイン思考における重要なマインドセットなのです。
ニーズ起点、シーズ起点関係なく、この2つの考え方は必ず、あなたの仕事に活かせるはずです。
是非とも活用してみてください。
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