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かずさ
2020年5月24日 21:25
バタン、という扉の音が室内に響くと、壁際に丸まった布団がもぞもぞと動き出した。「けーかー。まだ寝てんのかー」 たった3歩の廊下を抜け、弁当屋のロゴが入った袋をデスクの上に置いて振り返る。 布団の塊の脇にある目覚まし時計が指しているのは、11時を少し過ぎたあたり。カーテンが開かれた南向きの窓からは、明るい日差しが降り注ぎ、少しずつ室内の空気を温め始めている。「ほら馨佳、起きろって」 しゃ