『不思議な世界の観光日記』で様々な隠しパロ小ネタを旅歩いた話
アクション、RPG、推理、パズル…様々なゲームを経験すると時折、こういう体験がある。それは”ゲームの小ネタやパロディが面白い”というやつだ。例えば牧場あふれるのどかな物語なのに特定の時刻でテレビをつけるとホラー演出が見れたり、特定のタイミングで宿屋を覗くと緑色の勇者や銀河のバウンティハンターが寝ていたり…そういう普通だとやらないけどやるとどうなるか試してみると思いもよらない演出が見れたりするというものだ。だがこういう要素をメインにがっつり落とし込んでみるとどうなるだろうか?実際にそれを行ったのがこの『不思議な世界の観光日記』である。
まずは見てほしい起動開始約10秒ぐらいの画像
いきなりこれである。バカヤロー!!なんならこれはまだ序の口。この後テキスト的にもイラスト的にも様々な要素が襲い掛かる。その内容は誰もが分かるものから物凄いマニアックなネタがある。例えば登場人物もどれも個性的だがあきらかにどこぞのゴリラ眉毛警官をモチーフにしたキャラがいたり、卵を投げて敵を倒す竜と新宿の映画館にいる怪獣を足したような奴がいたり…とにかくどこもかしこも何かしらのパロディが埋め込まれているのだ…
『不思議な世界の観光日記』の遊び方
今作のゲームはなんやかんや難易度を選んで次のようなメイン画面に飛ばされる。
このゲームは見ての通り大きく分けて三つの項目に分類される。
一つ目は攻略Wiki。ゲームの中に攻略Wikiがあるというまさかの文面に初見時はさすがに面食らったがガンガン覗いても良いと思う。Steamには実績ないしね。なんならこのゲームの次にやることを定める指標にするために活用してもよいぐらいだ。
二つ目はお話を読む項目。このゲーム実はかなり前に作られていたゲームらしく、その甲斐あってか様々なお話が読める。ファンタジーから現代、SFとテーマに分けて製作者曰く”ほのぼの1話完結SFコメディモキュメンター”として展開している。内容に関してだが当たり外れがあるものの割と面白い話が聞けるからゲームに合間に物語を楽しむといったことができる。
三つめは複数のオムニバス形式のゲーム。メイドイン〇リオみたいなゲームから頭を使って謎解きをするゲームまで色々なものがある順に紹介しよう。
今、すごく既視感を感じるって思っただろう?
念のため一枚の画像を置いて暴いて分かりやすくしてみせよう
ダウト。
…まあ話を戻すとこのように色々なゲームが置かれているのが特徴だ。基本的遊べるゲームは先ほども述べたメイド〇ンワリオのようにミニゲームをこなして報酬を貰えるのが”ひよのお宝大冒険”。色々な野菜を育てて料理を作ってお客に出して稼ぐ”クッキングクリッカー”。文字通りのウミガメのスープ、コースごとに様々な大型のゲームがありそれをクリアして最終的にラスボスを倒す”超ワイワイひよランド”。そして最終的に”おわり”って入力しないと終わらない、透明プリンを食べた犯人の色々な名前を当てるゲーム”名探偵アドラ”である。そして恐ろしいことにどのミニゲームも一切手を抜いてない。どれも最後まで満足にパロディ成分を補給しつつ楽しめる作りとなっているのだ…
ここまでが基本的な項目である。
…なのだが特定の手順を踏むとなんとこのミニゲーム以上に広大なマップを動かすゲーム、通称”ひよさんぽ”が展開されるのだ。たぶんここにめちゃくちゃ力入れただろ
この広大なフィールドを旅しつつ、他のミニゲームもやって手がかりを得て最終的にはすごくドラゴンボールっぽいものを集めてエンディングを迎えるというのが本作の最終目標である。もちろん紹介されたミニゲーム以外にも様々なミニゲームは隠されている。
このゲームのパロネタは面白い。だが…
ここまである程度のスクショやテキスト見ると分かる通り、このゲームはちょっとやそっとの数じゃないぐらい様々なネタが仕込まれている。先ほどかなり前と述べたがおおよそ2010年代のころからこのゲームは作り続けられており、常にネタ(特に当時、流行していたネタ)に対しては常にアップデートしてきている。ようは秘伝のたれを継ぎ足し継ぎ足しで濃くしていったような感じだ。例えば今から三つの写真を見てもらいたい。これは上に通り抜けて進むというシーンだ。
‥‥御覧の通りウルトラマン→ティアキンといった形で進むというものだ。もしもし任天堂法務部と円谷プロダクション? ただこういうネタのおかげでどんな人に対してもクスっと笑えるというのがこのゲームの利点だ。
ただし、私はこのゲームを他人に勧められるかといったら製作者本人には申し訳ないがNOといえるだろう…
なぜなら、これからこの『不思議な世界の観光日記』をやる人には避けて通れない問題がある。それは製作者の視点で偏った、皮肉や風刺で庇いきれない主張だ。具体的には2010年代の一部アジア諸国を問題視する表現である。単純に言ってしまえば猛毒がすぎる。時代といえば時代なんだねと笑って飛ばせるならいいがそれでもかなり思想が強い主張が入ってるのだ。その箇所をスルー出来るならいいが、もし初見の人が見たらスルーせずにどんなものかを見てしまうだろう。そのため結果的に不愉快な思いをしてしまうのだ。
全体的なまとめ
簡潔にいうならばこのゲームは本当にパロ尽くしに力が入ったゲームだ。ミニゲーム一つ作るだけでも大変だというのに、取得したアイテムやその説明にも細かい内容が描かれている。全てを味わいつくそうとするなら100時間も足らないだろう。実際足らないけど しかもこのゲームお値段千円以下の777円だ。先ほど、精神的にキツイ毒があると述べたがそれを加味してもこの値段とボリュームとパロネタは他のゲームにないゲームだろうと個人的に思う。