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【レポート】ゼロから考え抜いた新事業の「種」。約2週間に及ぶワークショップの模様を公開

こんにちは!働く人のリアルな姿にフォーカスしたコンテンツを発信する『X-BORDER』(クロスボーダー)です。
今回新たな試みとして、沖縄県沖縄市の一番街商店街にある私たちの事業開発拠点『X-BORDER KOZA』で、約2週間に及ぶ「次世代リーダー育成プロジェクト」を実施しました。

この場に集まったのは、岡野バルブ製造(株)の各部署から集まった30代のメンバー10人。
普段はそれぞれ異なる業務をこなす中、「10年後に向けた事業プランの策定」を目的にさまざまなタスクをこなしていきました。

今回は、日々考え続けて進めたワークショップの模様をお届けします。
一定の業歴と規模を持つ既存企業が陥りがちな課題とどのように向き合い、次世代へのアイデアを練りだしたのか。
もがきながら突き進んでいった姿を是非、ご覧ください!

【岡野バルブ製造】
 1926年創業。1932年に火力発電向け高温高圧バルブの国産化に成功し、福岡県北九州市を拠点にこれまで世界約60ヵ国の発電所に向けて100万台以上のバルブを納めてきた。現在は発電プラント向けバルブの製造とメンテンスを軸に展開し、新事業創出に関する取り組みも推し進めている。



【プロローグ】自社の10年後を徹底的に考える

7月1日(月)に始まった「次世代リーダー育成プロジェクト」。
約2週間のプログラムに集まった10人の多くは新卒入社以来岡野バルブ製造で働き、社内事情も熟知したメンバーです。

一方、長年働いてきたことで「これから先の会社」について漠然と考えながらも、日々の業務に追われて深く考える機会が無かったのが実情です。
30代である各メンバーは、これから40、50代と年齢を重ねる上で会社の中枢を担う立場にもなり得ます。
そこで、X-BORDER KOZAに集結して会社の今後に向けた新たな事業プランの作成を2週間の集中プログラムを展開を進めました。

今回のプログラムのテーマは、「自社・自事業の10年後の設計」「年間アクションプランの策定」。
さらに、組織の中枢の担い手としての意識を高めるため、「経営者視点のマインドセット・スキルセット」を強く求められることになります。

期間中は、「デザインシンキング」「リーンキャンパス」「マーケット分析」「SWOT分析」「バリューデザイン」など、横文字並びのプログラムを慣れないながらも理解した上で各自でビジネスプランの作成を進めました。

最終日前日に発表した十人十色のアイデアには、主力事業に関係するものからゼロベースから考えたものまでさまざま。
10通りのアイデアに対し、それぞれが投票し合うことで2案に絞った上でメンバーを2チームに分けてさらにブラッシュアップを進めます。

最終日の発表会では、20分のプレゼンタイムで自分たちのアイデアを発表し、30分の質疑応答で事業の実現可能性を探ることになりました。


【Team.1】主力事業の拡大に向けたさらなる一手

発表会の前にして最後の追い込みを図る参加メンバーたち

最初に発表したグループの内容は、主力のバルブ事業のさらなる拡大にむけたものでした。
火力発電向け高温高圧バルブの国産化に最初に成功した岡野バルブ製造にとって、「バルブを作る」ことはストロングポイントと捉えられていました。
ただ、近年は市場環境の変化もあって「バルブを作るだけ」では、優位性を保てない状況が訪れています。

「自社製品の品質には自信があるのになぜ他社に負けるのか…」
そんな疑問を現場ベースで日々感じてきたからこそ、発表を通じて「作るだけ」ではない事業展開の必要性が提起されました。

具体的な事業プランはこの場ではお伝え出来ませんが、バルブ製造の「∔α」となるサービス展開を打ち出すことで周り回ってバルブ製品自体のシェア向上を図る狙いがあります。
バルブの納め先となる顧客から見ても、「岡野バルブはバルブを作った後のケアもしっかりできる」とのイメージを持つ一手となり得るプランです。

発表では顧客ターゲットの設定、市場規模の分析、QCD(品質、コスト、納期)に関する自社、顧客双方のメリットの洗い出しなど各方面から調べ込みながらまとめていきました。


【Team.2】本社の活用をカルチャーから考える

対照的にもう1つのグループは、主力のバルブ事業とは全く異なるゼロからのアイデアを打ち出しました。

岡野バルブ製造は福岡県北九州市に本社を置き、かつては敷地内で発電用バルブの製造も手がけていました。
ただ、2017年に福岡県行橋市にある製造拠点に生産を一本化して以降、本社内の工場跡地は未活用のままとなっています。
そんな状況に対し、「ストリートカルチャー」を切り口とした跡地利用案を打ち出します。

この計画には主に以下の狙いがあります。

①:JRの駅から近く、目の前に幹線道路が通る立地を有効活用できないか?
②:ストリートカルチャーを発信地として人々が集まる施設を作りたい

ひと口に「ストリートカルチャー」と言っても、そのジャンルは音楽、アート、スポーツなど多岐に及びます。
発表では上記の2点を踏まえ、現在は使用していない工場建屋を改装した「ある施設」の展開が提示されました。

2年後には創業100周年を迎える岡野バルブ製造。
これまでの歴史に無かった全く新しい取り組みが、もしかすると今回の発表をきっかけに始まるのかもしれません。


【Feedback】「芽」を出すためにはこれからが本番

最後は全員で集合写真

全く毛色の異なる2つの事業アイデア。
今回の発表にオーディエンスとして参加した管理職たちからは、それぞれに対して指摘が飛びます。

最初の発表に対して飛んだ指摘は、「ヒト」に関する部分です。
今回提案した事業の展開には、技術面を担う専門人材が必要となります。
さらに、「3、5、10年後と中長期的な視野を入れた計画を考えているか」と経営面に関する指摘も飛びます。

一方で主力事業のフィールドをさらに広げる可能性を感じさせるアイデアだけに、「次期中期経営計画に向けた検討材料になる」と好感触のコメントが出る場面もありました。

ストリートカルチャーに関する発表に対しては、アイデアのユニークさで興味を惹きつけたものの、「採算をどうやって確保するのか」「『なぜ当社がやるのか』といった意味を深掘りした方がいいのでは」といったコメントが続きます。
特に発表を聞いた管理職側にはストリートカルチャーに馴染みが薄いメンバーが多いこともあり、判断に迷う部分があったことも否めません。

ただ、これから会社を担う世代が2週間かけて練ったアイデアは、10年後、20年後の会社における新たな「芽」になるかもしれません。
今回の2つのアイデアが実現するかは別として、継続的に考えて行動し続けることは事業を展開する上で欠かせない要素です。

今回参加したメンバーたちが、普段の業務に戻ってどんなアクションを起こすのか。
悩んで考え抜いたアイデアを実践に移せるか、これから真価が問われます。


私たちX-BORDERチームは、製造業を中心とした中堅・中小企業を対象にセミオーダー型の事業開発合宿を展開しています。
X-BORDER KOZAを舞台に、「会社について」「将来について」徹底的に考えてみませんか?
ご興味のある方は、以下のアドレスまでお問い合わせお待ちしております!

【問い合わせ先】x-border.info@okano-valve.co.jp

■過去の開催例(敬称略)

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