昭和の木造アパートに惹かれる。
『ランダムに選んだ過去の写真からインスピレーションを受けた小咄、コラム、戯言などを書き留める写真で二言三言。』
今思うと随分と鼻についたイヤなガキだったなぁ〜と己を恥じ入るのだが、大学入学と供に上京して部屋を見つけるに当たり、新築ワンルーム一択だった。
他人の痕跡は一切せず、新しくて生活感のない情報誌に掲載されているような一人暮らしの部屋を当時のわたしは望んでいたのだ。
その後何十年も経ち、今のわたしは結婚もして家庭を持っているわけだが、朝ン歩しながら今自分が一人暮らしをするとしたら、どんな間取りの部屋がいいだろうか?と妄想に耽ることがよくある。
今のわたしであれば昔のようなコンクリート打ちっぱなしのデザイナーズマンションのような薄ら寒い物件はまず選ばない。
どちらかというと平成の30年間のうちの取り残されたまま令和を迎えたような昭和の木造モルタルアパートを選ぶであろう。
若かりし頃は四畳半など受付もしなかったが、ミニマムライフで四畳半に文机というのも捨てがたい。
何十年かの間に何度も引越をして解ったことだが、今風の物件はとにかく収納がない。結果収納家具を揃えることで生活スペースを縮めてしまうが、昔の物件、特に和室をフローリングにリノベーションしたような物件だと押し入れに天袋と昔ながらの収納スペースが豊富なのである。
それを考えると例え生活スペースが四畳半であろうと収納を旨く使うことで、生活には困らない居住空間をつくれるのだ。
そんなことを思いながら昔ながらのアパートで暮らす頑固な独居老人の姿を妄想するのである(笑)