超車と消しゴムとボールペン。
『ランダムに選んだ過去の写真からインスピレーションを受けた小咄、コラム、戯言などを書き留める写真で二言三言。』
池袋なんていういちおう繁華街で暮らしていると、年に何回かはイキって列をなして見せびらかしているスーパーカーグループのツーリングを目にすることがある。
一台でもそれなりのオーラを感じるスーパーカーであるのに、それが何台も連なっているともはや現実のモノとは思えず、プラモデルが並んでいるかのような錯覚を覚えるのだ。
プラモデルくらいだったらまだ良い方だが、そもそも車に興味が無かった身の上故にスーパーカーで一番思い出すのは小学生のころに一世を風靡したスーパーカー消しゴムである。
わたしにとってスーパーカーとはサーキットを走り回る機械ではなく、消しゴムなのである。
スーパーカー消しゴムといえば、消しゴムとして使用していた貴兄はほぼ皆無であろう。
スーパーカー消しゴムとは鉛筆書きの文字を消す道具ではなく、ボールペンで弾き飛ばして休み時間に遊ぶものである。
これが流行ったのは、なにより消しゴムもボールペンもどちらも文房具であったからであろう。
当時の小学生はおもちゃを学校に持っていっていたワケでは無く、たまたま筆箱に入っている文房具で遊んでいただけなのだ。という多少の背徳感を身に纏いながら、休み時間の度に急増の机コースでゴールまでの早さを競ったり、相手の消しゴムを弾き飛ばして机の下に落としたり、まるで戦後少年のメンコやベーゴマのようにわたしたちの世代はスーパーカー消しゴムで遊んだのである。