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妖かしの小屋へようこそ。
『ランダムに選んだ過去の写真からインスピレーションを受けた小咄、コラム、戯言などを書き留める写真で二言三言。』
これはわたしに限った話ではないと思うが、世の中清廉潔白、種も仕掛けも無く、無農薬でオーガニックなモノほどつまらないモノは無い。
むしろ、佞悪醜穢、種と仕掛けだらけで、劇薬に塗れたモノのほうに魅力を感じてしまう。
子どもの頃から、毎週同じヒーローよりも毎週変わる敵役の怪人や怪獣の方が魅力的に映ったし、江戸川乱歩では少年探偵団の勧善懲悪よりも大人向けの怪奇モノ伝奇モノの方が好きだった。
同時代ではないが、今思うに昭和の一時代に流行したというエログロナンセンスのカストリ雑誌のような世界観にわたしは憧れていたのだと思う。
そんなことをこの写真を見て改めて思い起こしたのだが、これは新宿花園神社の酉の市の祭で催されていた見世物小屋の入口である。
見世物小屋というモノも、子どもの頃から大好きであった。100%嘘と作り物であることは充分承知しておきながら、カストリ雑誌が現実になったかのような見世物小屋に、それでもまたどこかのお祭で出会うとついつい親にせびってしまう。
そんな魅力が見世物小屋には存在する。
十数年前まではこのような見世物小屋が普通に興行していたのだが、コンプライアンスやらなんやらと小難しい世の中になってしまった昨今、いまだに見世物小屋は存在しているのだろうか?
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