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トプコンの敷地を囲うベルリンの壁。

『ランダムに選んだ過去の写真からインスピレーションを受けた小咄、コラム、戯言などを書き留める写真で二言三言。』

カメラを趣味にしたコトでハマった『沼』に簡単に触れた投稿が私のnoteにしては珍しくよくスキをしてくれている。

この手の趣味に関する沼は幅広く、カメラ本沼という沼も存在する。
もともと本好きで、NETよりも本から情報収集することに歓びをかんじる性癖なので仕方がない面もあるが、我が家の本棚の1/3くらいはカメラ本と写真集にいつの間にか占領されてしまった。

さらにそのカメラ本・写真集の棚の半分は田中長徳氏の本が占めている。この趣味に足を浸かって以来色んな作家の本を読み漁ってきたが、中でも一番私の感覚に合っていたのが田中長徳氏である。

有名な写真家であるにもかかわらず、長徳氏がスゴいのは職業作家並みの文体を持ち合わせていることである。写真家で文章も書ける方はなかなか希有な存在である。

そんな長徳氏の写真集を眺めては、その地を実地検分して廻っていた一時期がある。
この写真はその頃の一枚だ。

場所は板橋区蓮沼町のトプコンの敷地の路地である。
長徳氏の独特の視点をして『東西冷戦の象徴であるベルリンの壁である』と語る。
トプコンの敷地はこのようにコンクリートの壁で一通り囲われているのである。

なるほど、このコンクリートの壁とその色合いからしてあのベルリンの壁である。
このコンクリートの壁が敷地内で行われている精密化学工業の世界と板橋の片田舎を遮り、文明の明暗を分けている。

そんなベルリンの壁もついに崩壊に至るわけだが、トプコンベルリンの壁はこの写真の二年後に再訪したところ、より今風の壁に全周建て変わっていた。
まだまだ蓮沼町の緊張状態は健在であるようだ。

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