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初めて『桶』を知ったくろ屋の夜。

『2014年夏から2016年夏に撮られた写真から、当時の二年間の金沢生活を振り返り、想い出を記録に定着させる写真で二言三言。』

北陸金沢といえば海鮮!と引っ越す前からその印象しかなく、その割には新たに始まったこの金沢生活を振り返るシリーズではまだ引越前の出向間近の海鮮丼くらいしか海鮮ネタが出てきていない。

というのも、いうほどこの2014年7月中旬の引越のバタバタくらいのころまでは魚を食べまくっている記録が無いのである。
どちらかというと、都内で暮らしていた頃のようならーめんやカレーやといったB級グルメが中心で、せっかくの近江町市場の近所と行った地の利も活かさず、今となっては無駄な時間を過ごしていたような気がする。

そんなところで、地方勤務ともなると都内から遊びに…いやいやわざわざ仕事を作って都内から訪問してくる客人たちの相手も立派な仕事となってくる。
まずはガチのお客さんというよりもわたしの友人たちが出向の話を聞きつけて、7月下旬ともなると押し寄せてくることとなった。

そんな2014年7月23日の夜の写真が今回の一枚である。
おそらく金沢で暮らすようになってきて初めて自分で調べて予約をした居酒屋『くろ屋』での一枚。
この一晩でわたしは金沢の酒の肴の素晴らしさ、魚料理のうまさに目覚めさせられたと思う。

中でもこの『桶』に入ったお刺身の新鮮で旨いこと!
いくら築地(当初)直送とはいえ、水揚げから築地までの陸送に時間がかかることで鮮度というモノはそれなりに下がってしまうのが関東の魚事情だと思うが、すぐそばに金沢港や隣には天然のイケス富山湾が控えるこの北陸の魚事情のレベル感の違いはこの一晩で明らかになった。

この後2年間、わたしのお小遣いのほとんどは魚料理に消費されていくのである。

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