池袋に残存する残り少ない横丁、栄町通り商店会。
『ランダムに選んだ過去の写真からインスピレーションを受けた小咄、コラム、戯言などを書き留める写真で二言三言。』
お酒も飲めない下戸なのに横丁が好きである。
横丁のお店に行くというよりも、横丁という時の流れから忘れ去られたかのような佇まいと、長年を掛けて積み重ねられたというか、人間の業の掃き溜め感が周囲の空気感と明らかに違った雰囲気を醸し出しているからかもしれない。
ある程度の規模がまとまって残っている地域というと歌舞伎町の新宿ゴールデン街や、赤羽の一番街、再開発で無くなりつつある立石の吞んべ横丁あたりが都内では有名どころだろうか。
地元の池袋にも戦後ヤミ市の流れを汲む人世横丁という横丁があったらしい。2008年に再開発で取り壊しになったということなので、2007年に虹橋の向こう側の箱庭の街から池袋文化圏に引っ越してきたわたしは、ついにその姿を見ることなく無くなってしまった。
しかし、池袋東口には人世横丁跡の奧にまだ写真にある栄町通りの美久仁小路が存在する。
美久仁小路は小径の整備もされてちょっと小綺麗になっているが、栄町通りは御覧の通りの佇まい。
現在池袋東口を中心に再開発エリアが拡大しているが、こういう歴史と記憶が蓄積された文化遺産を再開発の名の下に壊し続けてしまうと、そこはもう池袋では無いなんの変哲も無いただの街になってしまうだろう。