銀座グリルスイスの白いヤツ。
『ランダムに選んだ過去の写真からインスピレーションを受けた小咄、コラム、戯言などを書き留める写真で二言三言。』
いまだに洋食には目が無いほどの子ども舌なのは、物心付く頃から週末になると両親に連れられて近所の商店街のレストランで一人前に食事をしていたからであろう。
お子様ランチというものは早々に卒業し、父や母が注文するようなハンバーグ、ヒレカツといったグランドメニューを嗜むようになっていた。
そんな田舎の洋食育ちであった私が、上京して間もなく足を向けたのが銀座の洋食屋さんである。
中でも当時はまだ値頃感のあったグリルスイスは早々に行きつけのお店となった。
グルルスイスというとなんといってもカツカレー発祥の地として有名だ。
読売巨人軍の千葉茂雄氏が大好きなカレーとトンカツを一石二鳥で食べられるようにカレーにカツを載せてもらったのが始まりとされている。
このカツカレーはいまだに『千葉さんのカツカレー』としてグリルスイスの名物メニューとして残っている。
このグリルスイスで注文を済ませると、すぐに配膳されてくるのが白いカップに入った白いスープ。
初めてお店に訪問したときからずっと、『お熱いのでお気をつけください』としか言われた記憶がない。
確かに熱くて、頼んだ料理が運ばれてくるくらいになってよぉ〜やくカップに唇が付けられるくらいの感じになるのだが、塩気のあるなんらかのポタージュなんだろうな?というくらいで、私も特に店員さんに追求することなくこれまで過ごしてきた。
そんなこんなで30年ちょいの時を過ごして、先日お店にお伺いしたときに、突然この白いスープの謎が他力本願的に解決してしまったのである。
その日、店員さんは配膳時に何の躊躇もなく『あさりとベーコンのポタージュスープでございます。お熱いのでお気をつけください。』とはっきりとスープの名前を口にしたのである。
長年疑問だったこのスープは魚介と豚の出汁と塩気で味を調えたスープだったのである。