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路面電車の停車場。
『ランダムに選んだ過去の写真からインスピレーションを受けた小咄、コラム、戯言などを書き留める写真で二言三言。』
都内に唯一残る都電である都電荒川線。
数年前に東京都交通局がなにをとち狂ったのか『東京さくらトラム』とかいうネーミングを絶賛PRしたにも関わらず、JRの『E電』なみに浸透しないまま、また正式名称は『都電荒川線』とヒッソリと元に戻っているらしい。
そんな都電荒川線が私の散歩コースでもある雑司ヶ谷近辺を走っている。
昔でいうところの路面電車ではあるのだが、現在の荒川線のほとんどの区間はこの写真のように専用軌道上を走っている。
なので、地方都市にまだ残る路面電車のように胸を張って『路面電車』といって良いモノなのか判断が難しいところではあるが、この荒川線の停車場、電停と言われるスポットの佇まいがたまらなく好きなのだ。
往路復路が対面に設置されている電停はなく、ほとんどの電停はこの写真のように多少距離を置いて設置されている。
コレを俯瞰したときに手前と向こう側のちょっと距離を置いた関係性が、大人同士の距離感のようなモノを感じるのである。
私がよく利用するのは東池袋四丁目〜面影橋の区間である。この間にも複数の電停が存在するが、この区間の途中途中で乗り降りする機会が一番多い。
中でも名称として一番のお気に入りがこの『都電雑司ヶ谷』である。
とても池袋圏内とは思えない牧歌的な光景と、写真左手には雑司ヶ谷霊園の広大な敷地が広がる。
毎週のように雑司ヶ谷霊園に眠る永井荷風の墓地へ参拝するのがこの一年半の習慣になってしまった。