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まったく似ても似つかない二人なのに、すぐに混同してしまう不思議

北村と奥村はどっちがどっち

高校生の頃、クラスで親しくしている二人の友人がいた。おかしなことに、私はいつもその二人を混同してしまう。その中の一人は北村といい、あとの一人は奥村といった。まったく顔のタイプも性格も、少しも似通った部分はないのに、その一方の名前を呼ぶ場合も、実際に私が頭の中で一方の友人のことを考える場合にも、必ずと言っていいほど混同してしまう。具体的に言えば、頭の中では北村を相手に言っているつもりで、奥村に向かって話しかけているということになる。事実問題としては、「あ!間違えた」という形で言い直せばそれで問題はないのだが、私としては、なぜこの二人を混同するのかが分からない。
出遭った最初の頃なら、他の人でも同じようなことはあると思うが、彼ら二人に関してはいつまでも全く二人を頭の中で分離することができない。実際二人を並べてみても、混同してしまう。おそらく1年くらいで分離ができるかと思っていたが、結論を言えばその混同は3年間続いた。それは高校を卒業したことによるものだとおもえるので、そのまま同じ大学とかに行ったとすればさらに4年間続いた可能性だってある。

二人の人に、同じコード番号を割り振った感じ

私はこの混同について今風に考えて、人間のパーソナリティをセンサーで分析し、それをコード番号で登録する方法になぞらえてみた。おそらく人間は、ジャンコードみたいに、初めて会った時に相手にコードを付けるのだが、私は北村と奥村に同じコード番号を割り振ってしまった可能性がある。この二人は見た目は違っていても、私にとってはまったく同じコードで認識しているということなのだ。実際に相手が製品なら、コード番号を貼り直すか、コードの読み取りを、一方だけ、つまり北村か奥村のどちらかを再登録すればいいだけなのだが、相手が生身の人間なので、私もどうして一方のコードを無効にして新しいコード番号を当てはめるのかその方法が全く分からない。

まあ私としては、ほぼ三年でこのコードを使う可能性は極端に少なくなるので、それまで気を付けるしかないと思ったのだが、人間に関してはデジタル機器で再登録もできないのでこれはこれで行くしかない。しかし一方、友人や恋人、あるいは配偶者が、初めに考えてた人と全く違った人格を持っていた場合、これについてはこれまでのコード番号をキャンセルし、今の人格に応じた新しいコード番号にリセットできれば、つねに相手の人格を再評価し、人生を間違いなくするのにずいぶん役に立ちそうな気がする。と同時に、人を人以外の機器が認識判定するという新たなリスクが生まれてくる。といっても私の言っていることは思い付きの白昼夢のようなことなので、リアリティは全くないが、ITがこれほど発展している中、人が人の印象や人格について、その判断をIT機器が担うということがあり得るということを考えなけれなならない時代に来ていると思うのだ。


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