人生20回の引っ越しから4年目…
葛飾北斎は、生涯になんども引っ越しをしたということだが、その引っ越しのいずれもが葛飾周辺で、江戸を離れても川を一歩渡ったという程度なので、基本的には江戸で何回も引っ越したということだと思う。会社に勤めていて何度も転勤で引っ越したという人もいるが、私の場合は主として自分の意志と、若干仕事の関係で都合のいいところに引っ越したのだが、およそ20回くらいは引っ越したと思う。私の幼少期のことも含めて言うと、倉敷、大阪、京都、北京、東京でも転居を繰り返して、麹町、世田谷(駒澤大学前)、町屋、千葉、お花茶屋、京都と、結構転居をして、短時間のものを入れると約20回といったところだ。
新しい出会いも、引っ越しの妙味
もともと私は関西の人間ですので、言葉で困ったのではないかと尋ねられるが、私の引っ越し人生で分かったことは二つ、一つはどこに引っ越しても生活の場が変わったという不便を感じたことは一度もない。言葉については、私は関西弁の癖を若干セーブしたソフト関西弁なので、あまり拒絶された経験がない。
どうこう言いながら、日本中、あるいは世界も含めても、あまり生活のクオリティには違いがないと思う。さて、引っ越し人生で分かったことが二つあると申し上げたが、あと一つは人間関係が大きく広がるということだと思う。考えてみれば、今日ほど人の交流が盛んになると、どちらのご家庭でも奥さんは新潟の人、旦那さんは熊本の人と、かなり国民的な交流が盛んで、実際のところは、昔のようにタイトな出身県の人々のコミュニティは少なくなってきている。だから、住む場所がどこであれ、むしろ日本中の各地から集まった人々と交友できるということは、かなりの楽しみといえるかも知れないと思うのだ。