内定を辞退し大学を通い直して特別支援学校の教員になった話②
前に書いた記事をふと見たら、もう半年前?!
明星大学の通信教育課程で学んでいた頃の記憶がだんだんと薄れていく今日この頃。続きを急いで書いていきたいと思います。
本当に自分の記録用、同じような境遇の方の参考になったらと思って書いているので、10以上のハートを頂いていることにびっくりしています…!ありがとうございます。
1.特別支援学校での勤務開始
紆余曲折ありながらも、特別支援学校にて講師として勤務することになった、社会人1年目、4月。
特別支援教育の知識なんて大学では何も習わず、放課後等デイサービスでのアルバイトでの経験くらいしか持ち合わせていなかった私。
※ちなみにアルバイトしていた放課後等デイサービスは軽度知的障害のある児童生徒の通うデイサービスであり、特別支援のことなんて何一つわかっていなかったと後から気づくことになります。
特別支援学校で働きはじめると何を思うでしょうか。
私が勤務して初めて思ったことは、
「え?車椅子の子って歩けるの?」 でした。
私の配属された学校は、障害種が肢体不自由の特別支援学校でした。
肢体不自由の学校というと、''車椅子の子が通っている''そんなイメージを皆さんは持つのではないでしょうか。
私も同じでした。
3月、肢体不自由の学校に事前に挨拶に行くと、車椅子の子、歩行がとても不安定な子を見かけました。
ある程度イメージ通りで、こんな感じか〜と思ったことを覚えています。
しかし、4月実際に働き始めると知らなかったことがたくさん出てきました。
そして衝撃だったのが「車椅子の子も歩ける」ということ。
もちろん全員ではありませんし、一部の児童生徒なのですが、車椅子から立って靴を履き替える生徒を見た時は衝撃でした。
"車椅子の人は歩けない"という先入観、決めつけが自分にあったことに気付かされ、反省しました。
決めつけないこと、とても大切です。
3.重複障害ってなんだ?
そして、働きはじめて数日、次に思ったことは「重複障害ってなんだ?」
特別支援学校で働いている方、特別支援学校の先生を目指している方には当たり前のことかもしれませんが、肢体不自由の学校では身体障害を持つ児童生徒よりも身体障害と知的障害を併せ持つ生徒が圧倒的に多いです。
特に近年はインクルーシブ教育の推進が影響してか、身体障害のみの児童生徒は配慮をした上で普通校に通うケースが増えてきており、この傾向が強まってきています。
勉強している方なら当たり前のことかもしれませんが、特別支援教育と無縁だった私には、''重複障害''という言葉はなんとなく字面で意味がわかっても実態はよく分からないそんな言葉でした。
皆さんは、特別支援学級の生徒を見た事があるでしょうか? 実は特別支援学級に在籍する児童生徒というのは比較的障害の程度が軽い子のことが多いです。
常時配慮が必要な重複障害の児童生徒というのは始めから特別支援学校に通うことが多いというのが特別支援学校に勤務している私の体感です。
私は小中と特別支援学級のない学校で育った上、周りに障害のある人はおらず障害者の実態を知らずに生きていました。
放課後等デイサービスでアルバイトをして障害のある子がどんな子かわかった!と勝手に思っていましたが、彼らは自分の足で放課後等デイサービスにやって来て、卒業すると特例子会社などの企業に就職していく……自分の足で社会に羽ばたいていく子達でした。
特別支援学校に勤務し始めて、知ったことは、世の中には重複障害のある児童生徒がいること。
特に重度になると、身体障害、視覚障害、知的障害と3つの障害を併せ持つケースも少なくありません。
重度重複障害の児童生徒は、コミュニケーション、食事、排泄、呼吸……生きるために私たちが当たり前にしていることができません。
そんな子どもたちがいること、聞いたことはあったけれど、実際に見た事はありませんでした。
まさに百聞は一見にしかず。
けいれん発作が起こった瞬間、時計をじっと見つめ秒数を数え、「今日はちょっと長かったね」と話す担任の先生の姿。
教室で呼吸器のアラームが鳴り響き、看護師さんが、痰の吸引をし、担任の先生が「まだ(痰が)ありそうです」と言っている姿。
初めて見た時の衝撃は忘れられません。
が、緊急事態でもなく、これが全て日常。それが肢体不自由の特別支援学校のもつ一面だったのです。
4.初めて担任を持ったクラス
そんな重度重複障害の児童生徒たち。
新卒特別支援教育を何も知らない、ましてや特別支援の免許も持っていない私が担任を持つことはなく……
(ちなみに……人工呼吸器や食事の注入を行っているような児童生徒は、''医療的ケア児''と呼ばれ、教員免許とは別に専門の研修を受けなければ、手技を行うことはできません)
私が初めて担任を持ったクラスは、中程度の重複障害のある児童生徒のクラスでした。
どんな子達がいるかと言うと、
・身体障害と知的障害があるが、簡単な会話でのコミュニケーションはできる、年齢としては中学生だけど学習面は小学校2年生程度。
・知的障害はあるが学力面も中学生程度、だけど精神障害があり、コミュニケーションをとること、集団は苦手。
そんな子たちでした。
個性が豊かで、授業をする際には実態差も大きく、大変だったけれど、生徒を通して勉強させてもらうことがたくさんあり、自分自身を成長させてくれました。
はじめのうちは授業も苦労しました。私は小学校、中学校社会、高等学校地理歴史公民と免許を持っていましたが、どれも普通校の免許。
知的障害のある子がどんな特性があり、どんな風に学習していくのかは何も知りません。
足し算を教えるけれど、翌日には全て忘れていて、また教えたらできるようになるけれど、また翌日になると忘れている生徒……
公共施設の授業を行いたくて、消防署や警察署についてイラストを用いながらスライドで説明するけれど、反応はなくただつまらなさそうに外を眺める生徒……
この授業はなんなんだ?
毎日一進一退を繰り返すばかりで、この子達にとっての学習ってなんだろう、どうやったらできるようになるんだろう、そんなことを毎日考え、思い詰めていくばかり。
けれど、たくさん悩んで失敗して1年を通してわかったこともありました。
知的障害のある子どもたちの学習は螺旋状。
何回も繰り返さなければ、定着することは難しく、定着させることができないものもある。
小学校や中学校の教育は教科書があって、学習指導要領があって、それらを元に集団で授業を展開します。
特別支援教育でも、学習指導要領はありますし、教科書もありますが、みんなが同じ教科書というわけではありません。
個別に対応しなければならないからこそ、たくさん悩みますし、生徒が変われば内容も大きく変わる。
そんなことを学んだ特別支援学校教員1年目でした。
さて!次回からは明星大学入学編!
いよいよ特別支援学校で正規の教員になるため、特別支援学校の教員免許を取得します!!
働きながら免許を取るにはどうするの?
教育実習にはどうやって行くの?
学校で勤務しながら特別支援学校の教員免許をとるリアルを包み隠さずお話します!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?